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経済
母から娘へ バッグ新戦略 フェラガモ ヘミングウェーの孫らPR
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イタリアの高級ファッションブランド「サルヴァトーレ・フェラガモ」の新たなブランド戦略が世界のファッション業界から注目を浴びている。今週立ち上げた新しい高級女性用革製バッグのシリーズは、母から娘へと世代を超えて大切に使ってもらおうと、1998年に57歳で亡くなった創業者のデザイナー、サルヴァトーレ・フェラガモ氏(1898~1960年)の長女の名前から「Fiamma(フィアンマ)」と命名。5月7日には各界有名人の母娘らを起用した宣伝用のショートフィルムも公開した。これを8日に報じたAP通信は、老舗ブランドには長く愛用される真に優れた商品が不可欠だと強調した。
「フィアンマ」は夜のパーティーなどで持ち歩く小さなものから大型の手提げまで3サイズあり、カーフスキンやニシキヘビ、ワニ、アカエイ、キツネなどの革で作られている。価格はフェラガモだけに1650ドル~2万7000ドル(約16万7800円~約274万円)と高額だ。
しかし、フェラガモでは理由もなく高額なわけではないと胸を張る。創業者の孫で、女性用革製品のブランド責任者ジェームス氏(42)はAP通信の電話取材に「ハンドバッグは(高級な)コレクターズアイテムであり、世代を超えて引き継がれることで真の価値を有し、ブランド(の価値)を代弁するのです」と説明。「この新ブランドは長く(製造・販売を)続けたい」と抱負を述べた。
フェラガモをはじめ、エルメス(フランス)のバーキンやグッチ(イタリア)のホーボーバッグといった高級バッグは、芸能人のファッションアイテムとして人気を博した。ところが近年は一般富裕層も買い求めるようになり、各ブランドを支える基幹商品と化している。
また、高級品市場のなかでもバッグのような革製品は急成長を続けており、米大手コンサルタント、ベイン・アンド・カンパニーによると、全世界の革製品の昨年の総売上高は360億ユーロ(約5兆円)を占めた。
そこでフェラガモは、他社と差別化を図るため、代々続く名門の富豪が世代を超えて使うような、職人技を生かした最高品質の革製バッグの投入を決めた。
ハンドバッグのマニアで知られるファッション・ブロガーのアリソン・ミントンさんも「みんなシーズンごとに新しいバッグを買いたくはないが、洗練された高品質のかばんなら欲しい」と述べ、フェラガモの戦略を評価している。
米芸能サイト、Eオンラインによると、この戦略をPRするショートフィルムは、米文豪アーネスト・ヘミングウェー(1899~1991年)の孫娘マリエルさん(52)とその娘ラングレーさん(24)や、米俳優シドニー・ポワチエさん(87)の娘アニカさん(42)らが登場する7組7作品が作られた。
フェラガモの長年のファンというマリエルさんは「ファッションとはレッドカーペットを闊(かっ)歩(ぽ)する人々ではなく、個々の生活の中で洗練され、美しい生き方を求める人々のためにあるのです」と話している。(SANKEI EXPRESS)