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若田さん帰還「やっぱり地球はいい」 「和の心」 船長の大役果たす

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若田さん帰還「やっぱり地球はいい」 「和の心」 船長の大役果たす

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カザフスタンにあるロシアのバイコヌール宇宙基地  国際宇宙ステーション(ISS)で日本人初の船長を務めた若田光一さん(50)らを乗せたロシアの宇宙船ソユーズが日本時間5月14日午前10時58分、カザフスタンの草原に着陸し、無事帰還した。

 出迎えたスタッフに支えられ、宇宙船から出た若田さんは「無機質なステーションにいたので、草原のそよ風に迎えられた感じ。やっぱり地球はいいです」と、笑顔で語った。

 掛け替えのない古里

 若田さんは船長を務めた2カ月間、米露の乗員をまとめてISSの運用や科学実験などの任務を着実にこなした。今回の宇宙滞在は188日で1回の飛行としては日本人最長。これまで計4回の通算の滞在日数は348日となった。

 「半年間で地球を3000周ぐらいした。1周するのにたった1時間半だが、地球は掛け替えのない古里だと感じながら、半年間宇宙で過ごした」と、滞在を振り返った。

 医学検査で問題が見つからなかった若田さんは、ヘリコプターで近くの空港に移動。米航空宇宙局(NASA)の専用機で本拠地の米テキサス州に戻り、地球の重力に慣れるため約1カ月半のリハビリ生活に入る。

 無重力の環境で長期間過ごすと、骨の量や筋力が低下することが多いという。リハビリでは、ストレッチや筋力トレーニングを段階的にこなす。

 見回り 毎日欠かさず

 若田さんは船長としての約2カ月間、「和の心」でチームを指揮して大役を無事果たし日本人飛行士のリーダーとしての高い資質を世界に示した。

 船長の最大の仕事は、ISSの運用や実験計画を滞りなく進めていくことだ。3月下旬、3人の飛行士を乗せたソユーズ宇宙船が2日遅れで到着。米国の無人補給機の到着は4回も延期され、4月下旬にずれ込んだ。

 こうした事態のたびに、計画の練り直しを余儀なくされ、若田さんは飛行士の生活時間などに配慮しながら各国の地上管制局と協議を重ね、粘り強く対応した。

 若田さんは毎日の起床後と就寝前、任務規定にはない船内の見回りを続けた。一昨年(2012年)に長期滞在した星出(ほしで)彰彦さん(45)は「大きなトラブルがなかったのは、若田さんが日々、問題を未然に防いだ結果だ」とたたえた。

 「平和の象徴」示す

 任期中、地上ではウクライナ情勢をめぐり米露の緊張が高まり、米露の飛行士が同居するISSでも、この問題を真剣に話し合うことがあったという。

 宇宙航空研究開発機構(JAXA)の関係者は「船長が米露以外で、しかも調和を重視する若田さんだったことがよかった」と話す。筑波宇宙センター(茨城県つくば市)で見守った管制員の西川岳克(たかよし)さん(42)も「若田さんの気配りで、ISSが平和の象徴であることを示した」と指摘した。(SANKEI EXPRESS

 【若田光一さんの宇宙飛行データ】

今回の滞在日数 188日(1回の飛行で日本人最長)

通算の日数   344日(日本人最長)

任務      ステーション船長

飛行回数    4回(ともに日本人最長)

※うち長期滞在 ※2回

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