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あす児童労働反対世界デー 1.7億人 日本人より多い「被害者」
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一日中街を歩き回って食べ物と交換できるものを探す男の子=カンボジア(ワールド・ビジョン・ジャパン撮影) 昨夏、大学院の研修プログラムで訪れていたミャンマーの屋台で、友人と夕飯を食べていたときの出来事だ。ふと気づくと、7、8歳くらいの女の子が僕たちのテーブルの前に立っていた。顔中が泥などで真っ黒になり、ぼろぼろの服をまとい、悲しそうな顔をした女の子が、何かをつぶやきながら、手のひらを僕たちの方に差し出してきた。現地語が分からないが、言っていることは分かった。「お金をくれ」。「お父さん、お母さんはどこにいるの」と聞こうとすると、その子は街の暗がりに走り去っていった。
日本だったら小学校1、2年生。笑顔いっぱいで教室を駆け回っているだろう女の子が、夜遅くまで街頭を歩き回り、悲壮感さえ漂わせながら、見知らぬ外国人たちにお金をねだっている。その現実を思うと、僕はやるせなくなった。
残念ながら、このような境遇をたどっているのは彼女一人ではない。子供による物乞いは「児童労働」と呼ばれ、代表的なものとしては、農場、鉱山、漁船、工場などでの不当な賃金・労働環境での長時間労働や、路上で物売りするなどのサービス業への従事などがある。
また、賃金が支払われない奴隷のような労働、売春、戦争下での兵士という危険な労働も含まれる。児童労働は、教育の機会を奪う労働や、子供の健康や発達を妨げる労働すべてを指す。国際労働機関(ILO)によれば、世界で1億6800万人もの子供がそのような労働に従事している。この数字は、日本の人口を上回り、この問題の規模の大きさがうかがえる。
児童労働が生み出される背景には、貧困や教育機会の欠如に加え、文化的風習、不適切な法律の施行などが複雑に絡み合う。だからこそ親、学校を含め広く地域社会に働きかけ、地域全体の貧困が解決されることが必要だ。皆に子供は教育を受ける権利を持つという考え方が広まり、政府が児童労働を取り締まるなど、包括的な対策が必要となる。
≪一人一人の意識で巨大な山も動く≫
世界各国の政府、国際機関、NGOなどは、この問題の解決に向けさまざまな形で関わってきた。ワールド・ビジョンも、地域の貧困を長期的に解決することを目指した「チャイルド・スポンサーシップ」のプログラムを通じて教育機会の提供や農業指導などを行い、児童労働が起こらない環境の整備に力を尽くしてきた。
また、子供の権利を広めることで、児童労働を容認するような習慣が育たないようにも働きかけ、政府が児童労働の根絶に取り組むよう働きかけてきた。
「児童労働は遠い世界の問題だから日本にいる私たちにできることは何もない」と思われるかもしれない。しかし実は、私たちは解決に向けて大きな力となる可能性を秘めている。なぜなら、私たちは世界3位の経済大国に暮らし、世界中を自由に旅行して、世界中の製品を買うことができるからだ。
海外に行った際に子供が深夜まで働くような店には行かない、物売りや物乞いをする子供に直接お金をあげない、なども児童労働をなくす一助になる。
物乞いなどは犯罪組織が子供に強要していることも多く、本人の手に入らないだけでなく組織の資金源となる可能性がある。代わりに信頼のできる地元の企業や、地域に根付いたスモールビジネスにお金を投じることで、地域経済や従業員である親を通じ、児童労働を減らすことに貢献できる。
日本は教育水準が高く、インターネットも普及、いつでも世界中に情報発信できる。良くも悪くも、児童労働に対して大きな影響力を及ぼすことができるのだ。一人一人がこの問題を気に掛けることによって、「児童労働」という巨大な山も動くかもしれない。
明日6月12日は「児童労働反対世界デー」。毎年この日の前後には、児童労働について考えるイベントや、児童労働の根絶を求める署名活動が世界中で行われる。毎年この日を迎えるたびに、子供が児童労働をしなくてよい世の中に一歩ずつでも近づいていることを強く願っている。