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【ブラジルW杯】エースにも「黄」 大舞台で平常心

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【ブラジルW杯】エースにも「黄」 大舞台で平常心

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 全世界が注目するサッカー・ワールドカップ(W杯)ブラジル大会の開幕戦のピッチに、濃紺に赤のアクセントが入ったユニホームを着た3人の日本人が立った。西村雄一主審(42)と相楽亨(さがら・とおる、37)、名木(なぎ)利幸(42)の両副審は、目の肥えたブラジルのサポーターらで超満員のサンパウロ・アリーナで日本の審判団として初の大役を果たした。

 西村主審迷わぬ判定

 西村主審が開幕戦の担当に決まると、地元メディアは一斉に前回大会の準々決勝でブラジル選手を退場させた「因縁」の審判員であると報じた。精神的に負担の大きい試合だったが「重圧は自分でつくってしまうもの」と語っていた通り、難しい場面でも冷静に試合をコントロール。普段は選手に穏やかな笑顔で接するが、クロアチア選手の抗議は厳しい表情ではねのけた。

 西村主審は、前半27分に競り合いで相手選手の顔を腕で押したブラジルのエース、ネイマールに今大会最初のイエローカードを提示。後半24分に、試合を左右する決定的なPKの判定を下した。ゴール前でクロアチアのDFロブレンが背後から手をかけて、ブラジルのフレジが倒れた場面。西村主審は迷わずPKを与えた。

 引きずり倒したというよりは、背後から押さえたようなプレー。試合の流れを優先して接触プレーを流す傾向の強いイングランドでプレーするロブレンは「あんなの判定ではない。ミスだ」と憤慨した。コバチ監督も「フレジは体重もあり、あれほど簡単には倒されないはず。ルールを適用できないようでは(主審として)力不足」、「あれがPKなら、今大会で100回はPKを見ることになる」などと切り捨てた。

 クロアチアの地元メディアも「チームはホスト(ブラジル)相手に燃え尽きるまで戦った」と健闘を称賛したが「主審はブラジルの肩を持った」と非難した。

 「議論を呼ぶPK」

 他の海外メディアも厳しい見方を示した。ロイター通信は「わざと倒れたフレジ(ブラジル)にロブレン(クロアチア)がファウルしたと判定した」と指摘。「あの場面までは堅実に試合を裁いたが、議論を呼ぶPKでブラジルのファンを喜ばせた」と報じた。

 「西村主審の判定にスポットライト」との見出しで報じたAP通信は「ほかの審判員なら、ネイマール(ブラジル)のPKはなかったかもしれない」。英BBC放送(電子版)は「リプレーではわずかな接触しか見られなかったが、PK判定となった」と伝えた。

 だが、W杯では背後からのラフプレーを厳しく取ってきた流れがある。ブラジルのスコラリ監督は「映像を10回見たがPKだと思う。何より主審が正しいというのがこの世界のルール」と納得顔だった。(共同/SANKEI EXPRESS

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