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【ブラジルW杯】抜擢バレンシア 亡きエースにささげる2発

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【ブラジルW杯】抜擢バレンシア 亡きエースにささげる2発

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2013年7月に急逝したエクアドルの国民的英雄、クリスティアン・ベニテス=2013年5月29日、米フロリダ州ボカラトン(ゲッティ=共同)  エクアドル、決勝に望み

 サッカー・ワールドカップ(W杯)ブラジル大会は第9日の6月20日、クチリバなどで1次リーグ第2戦の3試合が行われ、E組ではエクアドルがホンジュラスを2-1で下して初勝利をつかみ、決勝トーナメント進出へ望みをつないだ。この試合でエクアドルのFW、エンネル・バレンシア(24)は2点を挙げ、2試合でチームの全3得点をマークする大活躍。大会前には国際的に全く無名だったが、昨年7月に27歳で急逝した代表の大エース、クリスティアン・ベニテスの代役として抜擢(ばってき)された選手だ。試合後、バレンシアは「彼(ベニテス)は常に僕らの心にいる。次戦(フランス戦)も必ず勝つ」と誓った。

 ▽1次リーグE組

ホンジュラス 1(前半1-1、後半0-1)2 エクアドル

 初戦のスイス戦を1-2で落としたエクアドルにとって、後がない試合だったが、前半31分、コストリーのゴールでホンジュラスに先制点を許した。

 しかし、前半34分、ゴール前に走り込んだバレンシアが、右から流れてきた低いボールに滑り込みながら合わせて遠いサイドに押し込んだ。後半20分には、所属するパチューカ(メキシコ)で一緒にプレーするアジョビ(34)の左FKに頭で合わせて決勝ゴール。ともにタイミングよくマークを外し、点取り屋の本能が存分に生かされたゴールだった。

 得点王より勝ちたい

 「ここはW杯。本当に幸せだ」と喜びに浸るバレンシアが誰よりも活躍を見せたい人が、尊敬してやまなかったベニテスだ。“チュチョ”の愛称で親しまれ、メキシコリーグや英プレミアリーグで活躍したベニテスは、代表チームの不動の2トップの一角を担い、国際Aマッチ通算24ゴール(エクアドルで歴代3位)をマークした国民的英雄だった。しかし、昨年(2013年)7月29日、移籍したばかりのカタールのアル・ジャイシュの本拠地、ドーハで食事中に心臓発作を起こして急死した。

 W杯の南米予選が佳境に入ったころで、6勝4敗3分けの成績でまだ出場権を得ていなかったエクアドルのレイナルド・ルエダ監督(57)は、ベニテスの代役探しに苦慮。思い切って抜擢したのが、バレンシアだった。しかし南米予選の残り3試合(1勝1敗1分け)に出場したもののバレンシアは得点を挙げることができず、4位で南米代表に滑り込んだエクアドルにとってベニテスの抜けた穴は、頭痛のタネだった。

 W杯本戦でついに本領を発揮したバレンシア。「クリスティアン(ベニテス)の域にはまだまだ及ばないが、必死に努力して彼の歩んだ道を自分もたどりたい。きょうの勝利を彼も天国からきっと祝福してくれている」と感慨深げに話した。

 気の早いメディアからは試合後、得点王争い(3点で5人が並ぶ)についての質問も受けたが、「点を取りたいのは当たり前。でも、それ以上に勝ちたい」と冷静に答えた。25日(日本時間26日)のフランス戦は真のエースになるための大一番となる。(SANKEI EXPRESS

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