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力が抜け、余裕をもって弾けるように ギタリスト 鈴木大介さんインタビュー

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力が抜け、余裕をもって弾けるように ギタリスト 鈴木大介さんインタビュー

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日本のギター界を牽引する中堅を代表する一人、鈴木大介さん=2014年5月19日(平末広撮影)  恒例、真夏のフェスタ

 毎年、8月下旬に東京・渋谷の白寿ホールで行われる「Hakuju ギター・フェスタ」が、今年で9回目を迎える。荘村清志、福田進一という重鎮が豊富な経験から立てた企画と充実した演奏が好評で、このフェスティバルはギター界はもちろん音楽界の夏の風物詩になりつつある。牽引(けんいん)するのは彼らの次世代のギタリストたちで、その一人、鈴木大介は欠かせない存在になっている。

 「世界にさまざまなギターのフェスティバルがあって、全部、見たわけではないのですが、一番、間口が広く、このフェスタは、どんなふうにでも広がっていける可能性があると思います。荘村、福田という両巨匠の演奏の魅力はもちろん、自分たちが知っている良いものを紹介し、また、それまでになかったものは屈託なく迎え入れる。委嘱作の顔ぶれも権代敦彦、ファジル・サイ、渡辺香津美、久石譲と多様で、それが大きな魅力だと思います」と鈴木は話す。

 鈴木は1970年、横浜生まれ。ギターを市村員章、福田らに師事し、ザルツブルク・モーツァルテウム音楽院に留学。斬新なレパートリーと新鮮な解釈によるアルバムも高い評価を受けている。

 フランセの難曲など

 今年の音楽祭のテーマは「フレンチ・ギターの魅力」。バロック・ダンスとギター、サティやドビュッシー、ラベルなどのギターへの編曲、30年代に生まれたジャンゴ・ラインハルトの楽曲を中心に、ロマ由来の音楽と融合したマヌーシュ・ジャズなど。委嘱作は、パリ国立高等音楽学校・舞踊学校でギターの教授を務めるローラン・ディアンスが作曲する。こうしたさまざまな角度から、フランスのギターを見ていく。鈴木はソロ・コンサートの一つを受け持つ。

 「フランスの作曲家によるギター作品はあまりないのです。今回取り上げたフランセの作品は、弾くのが難しすぎて世界で録音されたものが2、3種類ぐらいしかないんじゃないかと思います。自分の演奏の動画をアップすると珍しいものを見るような感じで、世界中からアクセスがあるほどです。初めて弾いたときから10年以上たち、力が抜けて、少しは余裕をもって弾けるようになってきたという感じです」

 この音楽祭は、若手の発掘も積極的で、松尾俊介、朴葵姫、松田弦、山田岳らが次代の旗手として紹介された。今ではそれぞれが演奏会や録音などで多くの聴き手を魅了している。

 「福田先生は台湾などで教えており、日本の良さはそういった形でアジア諸国に受け継がれていくと思います。ただ、それはヨーロッパという家元があっての音楽なので、謙虚に学んでいく姿勢もないといけない。今回、来日するマルシン・ディラは、ヨーロッパに留学している学生の手本にされている人で、それをここで聴けるというのもこのフェスタの素晴らしさですね」(月刊音楽情報誌「モーストリー・クラシック」編集部 平末広、写真も/SANKEI EXPRESS

 ■Daisuke Suzuki 横浜市生まれ。ギターを市村員章、福田進一、尾尻雅弘に、作曲を川上哲夫、中島良史に師事。ザルツブルク・モーツァルテウム音楽院でエリオット・フィスク、ホアキン・クレルチに師事。マリア・カナルス国際コンクール3位、アレッサンドリア市国際ギターコンクール優勝など数々のコンクールで受賞。2005年、芸術選奨文部大臣新人賞、第10回出光音楽賞受賞。洗足学園音楽大学客員教授。

 【ガイド】

 ■第9回 Hakuju ギター・フェスタ2014「フレンチ・ギターの魅力」

 <8月22日(金)>「フレンチ・ギターの源流」19・00~ 第1部「王宮のギター-バロック」竹内太郎(バロック・ギター)、市瀬陽子とセーヌ・エ・サロン(バロック・ダンス)。第2部「ギターで聴く近現代フランス音楽の真髄」

 出演:荘村清志、福田進一(ギター)

 <8月23日(土)>「旬のギタリストを聴く」15・00~。出演:小暮浩史(ギター)。「パリのカフェ」18・30~。出演:東京ホット倶楽部バンド、鈴木大介

 <8月24日(日)>「ヌーヴェルバーグ」~新しい波 15・00~。出演:マルシン・ディラ、荘村清志、福田進一、鈴木大介、小暮浩史(ギター)。会場:白寿ホール。問い合わせ:白寿ホールチケットセンター (電)03・5478・8700

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