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朝から「マミーポルノ」にNO 大ヒット小説映画化 TV予告編で物議

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朝から「マミーポルノ」にNO 大ヒット小説映画化 TV予告編で物議

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「フィフティ・シェイズ・オブ・グレイ」の著者、E・L・ジェームズさんにサインをしてもらおうと順番を待つ女性ファン=2012年9月6日、英国・首都ロンドン(ロイター)  リアルなSM描写が話題となり、2011年6月の発売以来、全世界で累計1億部を売る大ベストセラーとなった官能小説3部作の第1部「フィフティ・シェイズ・オブ・グレイ(グレイの50の影)」の映画版が米で来年2月13日に封切られることになり、7月24日、米では朝の情報番組で予告編が初公開された。ところが性的要素の強い内容に、保守系キリスト教の監視団体「保護者によるテレビ協議会(PTC)」が「朝の放送には不適当」と局を非難するなど、原作の過激な内容を反映するかのように、早速物議を醸している。

 小説は、純真無垢な女子大生アナスタシアが、27歳のハンサムで億万長者の企業経営者グレイに誘われSMの世界にのめり込んでいくという物語。

 激しくキス…

 ロンドン在住の女流作家E・L・ジェームズさん(51)が執筆し、彼女と同世代の中年女性の爆発的な人気を獲得。12年1月に第2部、4月に第3部が発売され、3カ月後の7月には英のアマゾンで3部作の累計売り上げが「ハリー・ポッター」全7作の累計売り上げを抜き「マミーポルノ(母親向けポルノ)」という新ジャンルを定着させた。

 米業界誌ハリウッド・リポーター(電子版)などによると、映画は米ユニバーサル映画の配給で、注目のアナスタシア役は米男優ドン・ジョンソン(64)と米女優メラニー・グリフィス(56)の娘、ダコタ・ジョンソン(24)。グレイ役はファッションモデル出身の若手ジェイミー・ドーナン(32)、監督は元ビートルズのジョン・レノンの伝記映画「ノーウェアボーイひとりぼっちのあいつ」(09年)を手掛けた女性監督サム・テイラー=ウッド氏(47)が選ばれた。

 その話題作について、NBCテレビの朝の人気情報番組「トゥデイ」が24日の放送に、アナスタシア役とグレイ役の2人の俳優をゲストに招いた。午前8時ごろに初公開された予告編は、上半身裸のグレイや、2人が激しくキスする場面などの官能的なシーンが含まれていた。

 「17歳以下観賞禁止に」

 PTCのメリッサ・ヘンソン代表はハリウッド・リポーター誌に対し「やり過ぎのような気がする」と不快感を示し「NBCの番組の行為は、人々が『マミーポルノ』と呼ぶもののPRに加担し、視聴者に対して愚かな判断を下した」と非難。さらに、両親と子供たちが同じ部屋のテレビで見る朝の番組でこの予告編が流れたことを「“議論の余地がないほど”懸念している」と語った。

 さらに、「原作の内容を理解したうえで言えば、この映画のレーティング(観賞者に課す年齢制限などのきまり)はNC-17(17歳以下の観賞を全面禁止)にすべきだ」と訴えた。

 米では映画やテレビ番組に厳格なレーティングが存在し、家族のだんらんの時間に過剰な暴力表現や性的描写を盛り込んだ番組が流れることはない。

 NBC側もそれは承知していて、今回放映した予告編は、オリジナルの予告編にあった両腕を縛ったり目隠しをしたりするSM描写をカットしていた。

 しかしヘンソン代表は「実際の映画内容を(故意に)和らげた予告編とみることができ、逆に誤解を与える」と、あくまで朝の時間帯に予告編を流したことに非があると強調した。

 またこの映画に関しては反ポルノ教育団体も「女性を性的暴力や虐待で従順化させる考えを広める危険性がある」との懸念を表明している。

 予告編だけで大騒ぎになる映画は珍しいが、この映画のレーティングはまだ決まっておらず、今後、さらに大きな論議を巻き起こしそうだ。日本公開は2015年。(SANKEI EXPRESS

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