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「非公式」会談、日中続く試練 両外相、首脳会談へ環境づくり
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ミャンマー・首都ネピドー 岸田文雄外相は8月9日深夜(日本時間10日未明)、訪問先のミャンマーの首都ネピドーで中国の王毅(おう・き)外相(60)と初めて会談した。詳細は明らかにされていないが、11月に北京で行われるアジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議の際の安倍晋三首相(59)と習近平国家主席(61)との首脳会談実現に向け、協力を呼び掛けたとみられる。
岸田氏は「これをきっかけとして、両国関係の改善を進めたい」と述べ、中国側の対日強硬姿勢に変化が出始めているのは確かだ。しかし、沖縄県・尖閣諸島や靖国神社参拝をめぐる問題では依然譲歩しない姿勢を崩しておらず、首脳会談の実現はなお見通せない。
岸田氏は、東南アジア諸国連合(ASEAN)外相関連会合に合わせて王氏と会談した。日中外相の会談は、民主党政権時代の2012年9月以来で、12年12月の第2次安倍政権発足後は初めて。
岸田氏は記者団に「ゆっくり長い時間、話した。関係改善をいかに進めるか意見交換した。お互いに考えを率直に述べ合うことができた」と説明した。
一方、王氏はNHKに対して「非公式の接触」とした上で「中国側の立場をはっきり伝えた。日本が中国との関係改善を希望するなら実際の行動で示すべきだ」と述べた。
日中関係は、尖閣諸島をめぐる対立や安倍首相の靖国神社参拝を受け、険悪な状況が続いてきたが、習氏が7月末に福田康夫元首相(78)と会談するなど、中国側には強硬一辺倒だった対日外交を軌道修正している兆候がみられている。延期されていた日中ジャーナリスト交流会議が7月に開催されるなど、民間交流も復活基調にある。
こうした背景には、中国の経済事情がある。海外からの投資で経済成長を支えてきた中国にとって、日本からの投資が激減している現状は窮地以外何ものでもない。
四半期ごとに発表される国内総生産(GDP)の成長率こそ7%台の半ばを保っているが、この数字を額面通りに受け取る専門家はいない。貨物輸送量や電力消費量などの統計を見る限り、経済の落ち込みは危険状態に陥っており、対日関係の改善は重要課題だ。
また、周永康元政治局常務委員(71)の拘束発表からも推察されるように、権力闘争に“勝利”した習氏が党内基盤を固め、対外強硬路線を修正する余裕(選択肢)を得たことも背景にある。中国はベトナムに対しても、にらみ合っていた南シナ海で問題の石油掘削装置(リグ)を「資源探査活動が終了した」として先月(7月)中旬に撤収するなど、軟化姿勢を見せ始めている。
ただ、このまますんなり日中首脳会談が実現するとみるのは早計だ。中国はこれまで、首脳会談開催に関して(1)尖閣をめぐる領有権争いの存在を認め問題を棚上げ(2)安倍首相が靖国神社を参拝しないと明言-との条件を付けており、この原則は変えていない。
王氏に同行している中国外務省の洪磊(こう・らい)報道官は外相会談について「王氏は中国側の原則的な立場を主張し、両国間の『政治的障害』を取り除くよう岸田氏に努力を求めた」とし、王氏も日中首脳会談の開催については「それを言うのはまだ早いだろう」と述べている。
関係改善、首脳会談実現は日中双方ともに望んでいるが、互いの立場を傷つけない解決策を探る作業が残っている。(SANKEI EXPRESS)