ニュースカテゴリ:EX CONTENTS
国際
【ミズーリ州黒人暴動】人種対立拍車 米の病巣露呈 黒人少年射殺でデモ拡大 警察は重武装
更新
米ミズーリ州セントルイス郊外のファーガソン 米中西部ミズーリ州で丸腰の黒人少年が警官に射殺された事件を受け、全米に抗議デモが拡大している。米社会の根深い「病巣」である人種問題を改めて浮き彫りにした今回の事件は、軍隊並みに重武装した警官隊が現場でデモ鎮圧に乗り出すなど、人種間対立を先鋭化させかねないとの懸念も強まっている。
事件はミズーリ州の中心都市セントルイス近郊のファーガソン市で8月9日に発生。路上を歩いていたマイケル・ブラウンさん(18)が歩道を歩くよう、強盗発生情報で現場に駆けつけた警官に注意された後、口論となり射殺された。米メディアによると、ブラウンさんは両手を上げて無抵抗の状態で撃たれたとの複数の目撃情報がある。10日以降、市内で抗議デモが起き、商店略奪が相次いだ。
ブラウンさんの母親が「なぜ警棒やスタンガンで対応してくれなかったのか。(警官を)死刑にしてほしい」と訴えると、デモはニューヨークやロサンゼルス、シカゴなど約100カ所に飛び火。事態を憂慮したバラク・オバマ大統領(53)は14日、「私たちは皆、米国という家族の一員であることを思い出そう」と述べ、激しい対立を続ける市民と警察の双方に自制を促した。
住民の怒りの背後には、地元警察への根深い不信がある。セントルイス一帯は白人と黒人が対立してきた歴史があり、ファーガソンは住民2万1000人の3分の2以上が黒人だが、市長や市警本部長ら支配層は白人が占める。警察官も全53人のほとんどが白人で、黒人は3人しかいない。自動車を停止させて行う職務質問やその後の逮捕の対象は、9割が黒人に集中していた。
また、今回の事件では、警察は抗議デモに対して装甲車両に守られた重武装の警官隊を投入し、怒りに油を注いだ。警官隊は軍服のような戦闘服と暗視ゴーグル姿で、催涙弾や特殊閃光手榴弾(せんこうしゅりゅうだん)などを使用した。デモ参加者に小銃のレーザー照準光を当てたとの報道もある。背景には、中枢同時テロ以降、有事に備え地方警察にも軍隊並みの装備を供与する動きが連邦政府に広がったという事情がある。イラクやアフガニスタンの米軍部隊が減り、使わなくなった小型戦車や地雷対策用トラックなどの装備品約43億ドル相当が全米にある数千の地方警察などに払い下げられている。
警察と市民の対立が激しくなる中、ミズーリ州のジェイ・ニクソン知事(58)は14日、急遽(きゅうきょ)治安トップを州高速道路警察隊のロン・ジョンソン隊長(黒人)に交代させた。ジョンソン隊長は住民との対話路線に転じ、15日にそれまで警察が拒んでいた射殺した警察官の氏名を公表。勤続6年の白人、ダレン・ウィルソン氏(28)だと明かした。しかし一方で、射殺される直前にブラウンさんが近くのコンビニエンスストアでたばこの強盗を働いたとする防犯カメラの映像も公開。住民は射殺の事実を正当化しようとする行為だと反発し、沈静化していた抗議デモが再燃する可能性が出てきている。
ニクソン知事は「ここは米国だ。戦場のような状態は受け入れられない」と強調するが、事件は人種差別問題の解消が今なお遠い米国の現実をあらわにした。(SANKEI EXPRESS)