ニュースカテゴリ:EX CONTENTS
国際
愛しのラテンアメリカ(12)パナマ 情熱的な70歳「愛は素晴らしい」
更新
パナマ湾の先に見える首都パナマ市の高層ビル群=パナマ(緑川真実さん撮影) グアテマラからエルサルバドル、ホンジュラス、ニカラグア、コスタリカ、パナマと通過した長距離バスの道中、国によって車窓から見える景色が大きく違うことに気づく。寂れた様子の街中に、威勢の良さそうな大統領のカラフルな看板がランダムにたつニカラグア。アメリカ資本の巨大広告が堂々とそびえ、一見にぎやかなコスタリカやパナマ。調べてみると、ニカラグアは現在反米路線をとっている国だそうだ。一概には言えないが、近隣の大国アメリカとの関係が、風景に如実に現れていて、滑稽にすら思えた。
パナマの通貨は米ドルで、首都パナマ市の新市街には高層ビルが林立する。消費の刺激に満ちた街並みは、アメリカの街そのものである。パナマ観光情報局によると、パナマ人は混血が70%、アフリカ系が14%、ヨーロッパ系が9%で先住民が7%。アフリカ系は植民地時代に奴隷として、またはパナマ運河建設時に労働者としてやってきた黒人の子孫だという。
他にも大西洋と太平洋をつなぐ地理的重要性からか、中国系やアラブ系、ギリシャ系と世界各国のルーツを持つパナマ国民。パナマを実際に見た後でも、「パナマ人」と聞くといまだにいろいろな人種や民族が浮かんでくるのは、その多様性ゆえだろう。
そんな中、出会ったパナマ人の中で一番印象深かったのは、バスの停留所で知り合ったホセという男性だ。一見40代に見えるホセは、実は70歳。結婚歴は3回で、子供は9人と、自慢気に語る。そして今、数週間前に知り合った42歳の女性とデートの待ち合わせ中で、今か今かと落ち着きなく彼女の登場を待っている。パワフルな70歳は「これがパナマ人さ。いやあ、愛は素晴らしい」とニヤッとしてみせた。
≪独特の世界観 先住民「布の芸術」≫
人口の10%弱を占める先住民は主に7民族に分類されていて、そのうち首都のパナマ市では、クナ族と呼ばれる人々をよく見かける。彼らは主にカリブ海のサンブラス諸島に住んでいるが、土産物販売の、いわば出稼ぎ組が首都のあちこちで店を広げる。土産物は日本でも最近販売されている「モラ」という色違いの布を重ねた、飾り布。布を切って表現される世界観は独特で、高級店でガラス張りの中に展示されているモラもある。
中米最後の目的地、パナマから南米の玄関コロンビアまで、地図上では大陸がつながっているが、移動手段は飛行機か船になり、メキシコから利用していたバスの選択肢はない。南北大陸を結ぶパンアメリカンハイウェイもここでいったん途切れるという。
ダリエン地方と呼ばれるクナ族はじめ、他の先住民族が暮らす国境のジャングルは、麻薬密売やゲリラの潜伏地でもあり、簡単には足を踏み入ることができないためだ。
コロンビアでは、ダリエン地方に住む先住民が、住居をゲリラ組織に追われ、都市で貧しい生活を余儀なくされている話も聞き、ラテンアメリカはどこまで行っても、先住民が社会的弱者として生活している印象を受けた。(写真・文:フリーカメラマン 緑川真実(まなみ)/SANKEI EXPRESS)