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【Q&A】EU大統領 加盟国を統率 ウクライナ問題で注目

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【Q&A】EU大統領 加盟国を統率 ウクライナ問題で注目

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首都ブリュッセルでのEU(欧州連合)首脳会議で次期大統領に選出された後、記者会見に向かうポーランドのドナルド・トゥスク首相=2014年8月30日、ベルギー(ロイター)  欧州連合(EU)の臨時首脳会議は8月30日、次期大統領にポーランドのトゥスク首相を選出した。

 Q EUって何?

 A 加盟国が、政治や経済など幅広い分野で協力するための統合体だ。第一次大戦後、主戦場となった欧州で荒廃から立ち直ろうと統合の兆しが見えたが、それでも第二次大戦を防げなかった。二度と戦争を起こさないため資源を共同管理しよう、との考えが設立のきっかけになったんだ。

 現在28カ国が加盟していて、18カ国が単一通貨ユーロを導入している。人口を合わせると約5億人になる。2012年にはノーベル平和賞を受賞したよ。

 Q 大統領の役割は?

 A 各国のトップ同士が話し合う首脳会議のまとめ役だ。

 Q ウクライナ情勢のニュースで、EUの名前をよく聞くね

 A 親ロシアのヤヌコビッチ政権(当時)が昨年11月、EUとの関係を強める連合協定の準備を凍結すると表明して、野党が反発したのが混乱の始まりだ。EUは米国と協調して、ロシアがウクライナに軍事介入していると批判し、経済制裁を発動してきた。

 Q 加盟国はまとまっているの?

 A ドイツは天然ガスの輸入の4割をロシアに頼っていて、強硬路線の英国などと温度差があった。ただ、どの国もロシアとは経済的なつながりが深いので、全面対決を避けたかったのが本音ではないかな。

 Q 反EUの勢力があると聞くよ

 A EUには法律をつくったりする欧州議会があって、5月に行われた議会選挙では、極右や急進左派などEUに批判的な勢力が各国で躍進した。親EUは多数派を保ったけれど、雇用不安などを抱える多くの有権者が不満を示したんだ。

 Q 今後どうなるかな?

 A EUはグローバル化の試金石でもある。ただ、国と国の垣根が低くなると移民が増え、その反動で排外主義に走る人たちがいる。最近は、イラクやシリアで勢力を拡大している過激派組織の「イスラム国」に欧州から移民系の若者らが相次いで加わっていて、過激な思想を持ち帰ってくる危険があると問題になっている。EUの理念に陰りが見える中、新大統領の手腕に注目が集まっているよ。(共同/SANKEI EXPRESS

 ≪「対ロシア強硬派」が人事の鍵≫

 欧州連合(EU)次期大統領にポーランドのトゥスク首相が決まった人事の鍵は、ウクライナ危機をめぐるロシアに対する姿勢だった。

 帝政ロシア、ソ連に支配された過去を持つポーランドのトゥスク氏は対ロシア強硬派。伝統的にロシアに融和的なイタリアのモゲリーニ外相が次期外交安全保障上級代表に指名されたことで、バランスが取られた。

 トゥスク氏のEU大統領選出は、2004年にEUに加盟した旧共産主義国のポーランドなど東欧諸国とバルト3国の発言力が増している現状を映し出した。

 トゥスク氏は、ロシアへの本格的な制裁発動を繰り返し求めてきた。弱腰だったドイツを「ロシアの天然ガスに依存していることで、欧州の主権が制限されている」と批判。北大西洋条約機構(NATO)軍のポーランド常駐も訴えた。

 一方、モゲリーニ氏については東欧・バルト諸国から「ロシアに軟弱だ」との批判が残る。

 モゲリーニ氏は8月30日、上級代表に指名された後の記者会見でロシアに対する姿勢を問われ、「あらゆる欧州市民の期待に応える」と述べ、弱腰との懸念払拭に努めた。(共同/SANKEI EXPRESS

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