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挑戦しなければ後悔すると 映画「海を感じる時」 市川由衣さんインタビュー

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挑戦しなければ後悔すると 映画「海を感じる時」 市川由衣さんインタビュー

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「自分の中にもっといろんな引き出しを作りたい」と語る、女優の市川由衣(ゆい)さん=2014年8月25日、東京都渋谷区広尾(野村成次撮影)  映像見て思わず涙

 8年ぶりに主演を務めた青春映画「海を感じる時」(安藤尋監督)の試写会に出席した市川由衣(28)は、初めて自分の演技を映像で目にするや、思わず涙ぐんでしまったそうだ。自分の出演作を鑑賞してこれほどまでに感情を揺さぶられることも珍しかった。「ヌードを披露すべきなのか-。悩んだ揚げ句、少しずつ『他の女優さんが演じているのを見たくないし、挑戦しなければ後悔するだろう』という気持ちが勝って、私は大きな覚悟を持って撮影に臨みました。試写会ではいろんな思いが脳裏をよぎりました。すてきな仕上がりを見て、結果的にはホッとした気持ちになれたから泣いてしまったのでしょうね」

 原作は作家、中沢けい(54)が文壇デビューを飾った青春小説「海を感じる時」(1978年)。発表当時、現役女子高生が手がけた「スキャンダラスな作品」と話題を呼び、当時18歳だった中沢は群像新人文学賞を受賞した。

 新聞部で活動する女子高生の恵美子(市川由衣)は、部室で先輩の洋(池松壮亮(そうすけ))から不意にキスを迫られる。「ただ女性の体に興味があっただけ。相手は誰でもよかった」とクールに言い放つ洋だが、恵美子にすればこれまでの生き方を180度変えてしまうほどの大事件。早くに父親を亡くした結果、母親に厳しく育てられ、親の愛など感じたことがなかった恵美子は、求められるままに洋と体を重ねるうちにだんだんと愛への関心を高め、自分が1人の女であることを強烈に意識していく。

 女性の強さ再認識

 「恵美子って、見ていてすごく痛い女性だなあ…」。脚本を読んだ市川の率直な感想だ。ただ、進学のため上京した洋の後を追いかけ、都内の花屋に就職するにいたった恵美子の積極的な行動に対しては、市川は「ピュアさゆえの痛さ」と肯定的にとらえており、今も30年前も隔てなく、女性の生きる力は男性に比べてはるかに強くたくましいものとの認識を強めた。実際、身近にいる働く女性たちの仕事へのアプローチをみても「ガツガツとアグレッシブに仕事をこなしていくのは女性の方」。市川自身も「仕事をするからには誰にも負けたくない」との思いで取り組んできたし、その姿勢が本作での初ヌード披露につながった。

 若手実力派の池松と市川による静謐(せいひつ)ながらも激しい濡れ場に、まず観客は目を見張るだろう。2人の本気度は、市川が池松の熱演に敬意を表し「前張り先生」と呼んだことからもうかがえよう。市川にとって本作はより豊かな感受性を備えた女優へとステップアップするための転換点となったことは間違いない。「私の中に新たな引き出しができました。これからも今まで演じたことがないような役どころに果敢に挑戦して、演技の幅を広げていきたいと考えています」。9月13日から全国順次公開。(文:高橋天地(たかくに)/撮影:野村成次/SANKEI EXPRESS

 ■いちかわ・ゆい 1986年2月10日、東京都生まれ。2001年、テレビドラマ「渋谷系女子プロレス」(テレビ朝日系)で女優デビュー。主な映画出演作は、03年「呪怨」、04年「ゼブラーマン」、05年「スクールデイズ」、06年「サイレン FORBIDDEN SIREN」(主演)「NANA2」、08年「音符と昆布」、14年「TOKYO TRIBE」など。

 ※映画紹介写真にアプリ【かざすンAR】をインストールしたスマホをかざすと、関連する動画を視聴できます(本日の内容は6日間有効です<2014年9月17日まで>)。アプリは「App Store」「Google Playストア」からダウンロードできます(無料)。サポートサイトはhttp://sankei.jp/cl/KazasunAR

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