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大学内の性暴力阻止へ スター活用

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大学内の性暴力阻止へ スター活用

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 米国で深刻化している大学での女子学生への性的暴行を阻止しようと、オバマ政権が大がかりなキャンペーンに乗り出した。その名も「It’s On Us」。傍観者になりがちな男子学生に着目、彼らに影響力を持つTVスターやプロスポーツ選手を多数投入して性暴力ストップの呼びかけを広めることで、啓発を進めていく作戦だ。

 米がキャンペーン

 ロイター通信などによると、このキャンペーンは、バラク・オバマ大統領(53)とジョー・バイデン副大統領(71)が長時間話し合った末、米時間の19日、ホワイトハウスで発表された。米女優、オリヴィア・マンさん(34)、米プロバスケットボールNBAキャバリアーズのケビン・ラブ選手(26)らが会見場に姿を現す中、オバマ氏は、大学の部活のコーチや教師、そして特に男性の“傍観者”に対し、キャンペーンへの参加を要求。「『未遂で済んだから良かった』じゃ済まされない。これは私たち自身の問題なんだ」と訴えた。

 ホワイトハウスによると、キャンペーンにはラブ選手らのほか、TVで活躍する米俳優のジョン・ハムさん(43)や米女優、ケリー・ワシントンさん(37)、米ヒップホップ歌手、コモンさん(42)らが参加。彼らが性的暴行を止めるよう訴えるビデオを、大学のスポーツイベントで放映したり、インターネットで流す計画だ。

 キャンペーンにはゲームメーカーのエレクトロニック・アーツやメディア大手のバイアコムが協力し、フェイスブック、ツイッター、ケーブルテレビも使って情報の拡散を図っていく。

 20%が被害

 米疾病対策センター(CDC)によると、米国では女性の5人に1人が性的暴行の被害者。特に大学での発生率が多いことは以前から指摘され、CDCの統計でも約40%が18~24歳の間に最初の被害を受けている。これに対し、生涯の間に性的暴行を受ける男性は71人に1人。男性の無関心が性暴力を野放しにする遠因になっている。

 大学での事件は、加害者が顔見知りの男子学生のうえ、飲み物に違法薬物などを混入されて意識がもうろうとしているケースが多く、被害の届け出が少ないのが特徴だ。事件に無関心な大学側の対応もあり、ホワイトハウスが最近発表した報告書は「在学中に女性の20%が性的暴行を受ける」とのデータを載せ、キャンパスが性犯罪の温床になっているとの見方を示した。

 女優ツイートに反響

 ロイター通信によると、一連のキャンペーンには、米プロフットボールNFLの有名選手らによる女性への暴力問題も影響している。大学リーグはNFLへの有力な選手の供給源。先週にはフロリダ州立大学の選手がわいせつな言葉を叫び、ベンチに下げられる事件も起きた。まだ純真さが残る若いうちに、問題の芽を摘み取りたい政権側の思惑もちらつく。

 「戦いに加わって+性的暴行のストップに協力を」。キャンペーンが発表された19日、女優のワシントンさんがツイッターでこう呼びかけると、リツイートはあっという間に数千にのぼった。

 ≪甘い処分、常習化 オバマ政権に危機感≫

 米国で社会問題化している大学での性的暴行に関し、歴代政権でもひときわ強い危機感を示してきたオバマ政権がその対策に本腰を入れ始めた。

 政府は1月に性暴力から学生を守る特別チームを編成。5月には教育省が性的暴行に絡み捜査当局の調査を受けている55の大学、大学院のリスト公表に踏み切った。

 この中には、ハーバード大学、プリンストン大学、カリフォルニア大学バークリー校などの名門校も含まれており、全米に衝撃が広がった。

 特に問題とされているのが、事件を表沙汰にしたくない大学側が加害者を適切に処分してこなかったことだ。4月には名門ブラウン大学とアイオワ州のセントラルカレッジでレイプ加害者が復学していることが相次ぎ判明。2013年にフロリダ州立大学の有名アメフト選手がレイプで告訴される事件があったが、警察が捜査に手心を加えたことが今年4月に報じられ、警察の姿勢にも批判が集まった。大学側の甘い対応を見越してか、ホワイトハウスの報告書では、女子学生への性的暴行に及んだ男子学生のうち63%は平均6回の常習犯となっていることも明らかになっている。

 オバマ大統領の危機感は相当なもので、今回のキャンペーンで米女優のメイム・ビアリクさん(38)、米俳優・コメディアンのジョエル・マクヘイルさん(42)、米ミュージシャンのクエストラブさん(43)が出演し、ウェブサイトで流されるビデオの最後には自らメッセージを吹き込む予定だ。(SANKEI EXPRESS

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