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ヨルダン「イスラム国」への空爆再開、UAEは中断 揺らぐ有志連合 米、統率に腐心

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ヨルダン「イスラム国」への空爆再開、UAEは中断 揺らぐ有志連合 米、統率に腐心

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2月4日、ヨルダン中部カラクに近い村で行われたヨルダン軍パイロット、モアズ・カサスベ中尉の葬儀に出席した中尉の父、サフィ氏(左から3人目)。ヨルダンでは「イスラム国」への報復の思いが全土で煮えたぎっている=2015年(AP)  イスラム教スンニ派過激組織「イスラム国」がヨルダン軍パイロット、モアズ・カサスベ中尉(26)を殺害したとする映像を公開したことを受け、ヨルダン空軍はイスラム国に対する空爆を再開した。一方、米高官はカサスベ中尉の拘束後、アラブ首長国連邦(UAE)が空爆への参加を中断したと述べており、米国が主導する有志連合の足並みが乱れているもようだ。

 「英雄であるカサスベ中尉が流した血を無駄にしない」

 ヨルダンのアブドラ国王(53)は、中尉を殺害したとする映像公開を受け、訪米日程を切り上げて4日に帰国。すぐに国軍幹部を集めてこう指示し、イスラム国に対する武力攻撃を協議した。国営ペトラ通信が伝えた。

 ヨルダン政府幹部は、ヨルダン空軍が米国と協力の上、イスラム国が“首都”と称するシリア北部ラッカで報復の空爆を開始したことを地元メディアに明らかにした。ラッカ周辺はカサスベ中尉が空爆したと伝えられる地域。空軍は昨年12月の中尉拘束後に空爆を中断していた。

 国王は「ヨルダンの息子である中尉がテロリストの虐殺を受けたことは、イスラムの本来的な価値観に対する挑戦でもある」と述べ、イスラム国との戦闘は「無慈悲なものになるだろう」と、壊滅する方針も示したという。立憲君主制のヨルダンでは、最高権力者の国王が軍の統帥権を握る。

 ロイター通信によると、米高官は4日、有志連合の空爆作戦に参加していたUAEが、昨年12月から空爆などの作戦参加を停止していることを明らかにした。新型輸送機オスプレイの投入など、イスラム国攻撃に向けて米軍が体制を強化することを空爆再開の条件としているという。(アンマン 吉村英輝/SANKEI EXPRESS

 ≪揺らぐ有志連合 米、統率に腐心≫

 「イスラム国」に対する有志連合による空爆作戦をめぐり、米CBSテレビは4日、米軍がイラク北部に捜索・救難ヘリコプターを移動させていると伝えた。イスラム国が殺害したとしているヨルダン空軍パイロット、モアズ・カサスベ中尉の拘束を受け、UAEが昨年12月以降、空爆への参加を見合わせていると指摘されるなか、米国として作戦を主導する意思を有志連合の各国に示す狙いもありそうだ。

 参加を停止しているUAEは、救難態勢の充実を再開の条件としている。CBSは救難ヘリの展開には、「墜落したパイロットと接触するまでの時間と距離を短縮する」狙いがあると報じた。

 一方、空爆再開を表明したヨルダンも、イスラム国掃討作戦で米国がこれまで以上の役割を果たすことを求めている。ヨルダンのアブドラ国王が訪米中の3日、米上下両院の軍事委員会メンバーとの非公式会合で、米国からの武器輸出の迅速化を要請したことが分かった。国王は「米国の官僚機構により支援に時間がかかることに対する不満を表明した」(マック・ソーンベリー下院軍事委員長=共和党)という。

 国王との会合を受け、上院軍事委員会は4日、民主党を含めた全所属議員がジョン・ケリー国務長官(71)とチャック・ヘーゲル国防長官(68)に宛て、ヨルダンに軍事物資を緊急に提供するよう求める書簡を送った。書簡は、国王が3日の会合で「装備品取得の遅れ」に言及したと明かしている。

 これについて、バラク・オバマ米大統領(53)から次期米国防長官に指名されたアシュトン・カーター前国防副長官(60)は4日、上院軍事委員会の指名公聴会で、ヨルダン支援の遅れを改善すべきだとの考えを示した。

 ただ、米国務省のジェン・サキ報道官(36)は4日の記者会見で、米政府が3日、ヨルダン政府との間で人道分野を中心に支援規模を引き上げる了解覚書に署名したことを挙げ、「ヨルダンが必要としているのは難民流入に対する人道支援だ」と述べた。

 オバマ氏は地上部隊の派遣など、空爆以外の作戦にはなお慎重だ。ジョシュ・アーネスト大統領報道官(37)は4日の記者会見でUAEの判断に関し、「有志連合が衰えるわけではない。UAEには対イスラム国戦略の他の分野で果たす重要な役割がある」と述べるにとどめた。(ワシントン 加納宏幸/SANKEI EXPRESS

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