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【アメリカを読む】「アナ雪」続編 2匹目のドジョウとなるか

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【アメリカを読む】「アナ雪」続編 2匹目のドジョウとなるか

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アニメ映画「アナと雪の女王」の一場面(ウォルト・ディズニー提供、AP)  米娯楽・メディア大手ウォルト・ディズニーは12日、2013年米国公開のアニメーション映画「アナと雪の女王」(原題=フローズン)の続編を製作中だと発表した。世界的なヒットとなった前作はディズニーの業績を大きく押し上げる原動力となっただけに、続編で2匹目のドジョウを狙うかたちだ。続編の製作発表を受けて、インターネット上では「人生最高の日だ!」「もう一度、雪だるまを作ろう」といった書き込みが相次ぐなど、ファンの間で興奮が広がっている。ただし前作のヒットが大きすぎただけに、続編への評価が厳しくなることもありそうだ。

 今なお絶大な人気

 「われわれは『フローズン2』に取り組んでいるところだ」。ディズニーのチーフクリエーティブオフィサーのジョン・ラセター氏(58)はカリフォルニア州で開かれた株主総会で、「アナ雪」の続編の製作を発表した。ステージには前作で雪だるまのオラフの声を担当した俳優のジョシュ・ガッドさん(34)も登場し、歌声を披露するサービスで盛り上げた。

 13年11月に米国から公開が始まった前作は、日本を含む全世界で約13億ドル(約1580億円)の興行収入を稼いだアニメ映画史上最大のヒット作。また主題歌「レット・イット・ゴー」は40以上の言語でカバー版が作られるなど、世界的なブームになった。公開開始から1年以上たった今でも女児への人気は絶大で、関連グッズの販売は年間10億ドルに上るという。

 ディズニー躍進の原動力

 このアナ雪効果が追い風となって、ディズニーの2014年度(13年10月~14年9月)決算では映画部門の売上高が前年比22%増の72億7800万ドル(約8820億円)に達した。前年の3%増から一気に加速したかたちだ。また営業利益も15億4900万ドル(約1880億円)となり、前年の2.3倍以上に跳ね上がっている。最高経営責任者(CEO)のロバート・アイガー氏(64)は株主総会で「14年度は映画部門にとって最高の年だった」と誇らしげに宣言して、会場から喝采を浴びた。

 ディズニーは今後もこのブームをフル活用するという意思を明確にしている。実際、米国で13日から公開が始まった実写映画「シンデレラ」は、アナ雪の登場人物による7分間の短編映画「アナと雪の女王 エルサのサプライズ」(原題=フローズン・フィーバー)を同時上映とすることで観客動員増を図る。

 アナ雪のミュージカルをブロードウェーで上演する計画も進行中で、「ライオンキング」や「美女と野獣」などに匹敵するロングランへの期待も高まっている。

 冷ややかな見方も

 今回発表された続編の公開日など詳細は明かされていないが、クリス・バック監督(54)ら前作の製作陣が起用されるという。ディズニーの発表を受け、英語版で主人公の一人、アナの声を担当した女優のクリスティン・ベルさん(34)は短文投稿サイト「ツイッター」に「本当に夢がかなった!」と書き込み、ファンからも続々と歓迎の声が寄せられた。「オラフが炎のような熱をもった属性のキャラクターと恋に落ちるストーリーになるのでは?」といった予想も出ており、早くもブームが動き出しつつある。

 映画会社の経営上は、ヒット作の続編は高い知名度を生かして広告宣伝を観客動員につなげやすくなるメリットがある。ディズニーの子会社であるピクサー・アニメーション・スタジオもかつて、「トイ・ストーリー」や「カーズ」などのシリーズものを成功させてきた。続編がヒットすれば、関連グッズの販売も水準を維持しやすくなる。

 ただしアナ雪の場合は前作のヒットが記録的だっただけに、続編製作に不安がないわけではない。インターネット上では「せっかくめでたしめでたしで終わっていたのに、本当に続編が必要なの?」といった製作自体に疑問を投げかける声や、「前作を超えられるのか?」「悪いけど、そんなに期待していない」といった冷ややかな見方も出ている。(ワシントン支局 小雲規生(こくも・のりお)/SANKEI EXPRESS

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