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“女性の敵”キッドマンに米CAら抗議 中東航空の広告塔で敵に回す

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“女性の敵”キッドマンに米CAら抗議 中東航空の広告塔で敵に回す

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米女優、ニコール・キッドマン  米ハリウッドを代表するオスカー女優のニコール・キッドマンさん(47)が、アラブ首長国連邦(UAE)のアブダビを拠点とするエティハド航空の“顔”としてCMに出演したことで、女性客室乗務員を敵に回すことになってしまった。

 エティハドなど中東の航空会社3社をめぐり、米紙が昨年12月に「妊娠した乗務員を退職させている」などと女性に対する差別待遇を報じていたためだ。

 キッドマンさんが女性の社会進出を支援する「国連ウィメン」の親善大使を務めていることもあり、米国の客室乗務員組合は、“女性の敵”の広告塔を降板するよう求める抗議の書簡を送った。

 国連ウィメン親善大使

 英紙デーリー・メールや米芸能誌ハリウッド・リポーター(いずれも電子版)などによると、キッドマンさんにかみ付いたのは、全米の客室乗務員約2万5000人で組織する「プロフェッショナル客室乗務員組合(APFA)」のトップ、ローラ・グラディング氏。

 書簡で、グラディング氏は「あなたは3月8日の国際女性デーで『私は世界中の女性や少女は(就業や出産などの)機会と権利を均等に有するものと考えており、今がそれを進める時だ』と述べた」とし、まず親善大使として活動を称賛。

 その上で、「同じ週にあなたがCMに出演したエティハドは、妊娠した客室乗務員を解雇できると新聞が報じた企業である」と指摘し、CM出演は親善大使としてふさわしくなく、降板すべきだと訴えた。

 キッドマンさんが出演するCMは、エティハドが導入した“空飛ぶ高級ホテル”の異名を持つエアバス「A380」の最高級レジデンススイート(料金約248万円)をPRするもの。

 リビング、ベッドルーム、バスルームを備えた豪華なスペースで、ソファに寝そべったり、シャンパンを飲んだりしてゴージャス感をアピールしている。3月15日のオーストラリアを皮切りに各国で放映が始まった。

 「妊娠で解雇」火消し

 これに対し、乗務員組合が問題にしたのは、米紙ウォールストリート・ジャーナルが昨年12月に報じた記事。この中で、エティハドのゲストサービス部門のオーブリー・ティート副社長は「妊娠した客室乗務員の勤務は当初3カ月だけで、その後は退職するか、地上職に転属するしかない」と語った。

 記事は、低料金で上質なサービスを提供し躍進する中東の航空会社3社についてのリポート。残りのエミレーツ航空、カタール航空についても、妊娠した場合、退職しなければならないなどと伝え、女性への差別的な冷遇が低料金と上質なサービスの背景にあると指摘していた。

 キッドマンさんへの抗議が騒動となったことを受け、エティハドは中東の日刊紙ガルフ・ニュース(電子版)に対し、「妊娠期間中は適切な地上業務に就かせており、出産後、復帰もさせる。解雇はない」と答え、あわてて差別待遇を否定した。

 熾烈な空の覇権争い

 今回の抗議は中東諸国での女性の社会進出に対する多くの制約が背景にあるが、米航空業界では、中東3社の勢力拡大への危機感が強まっており、「空の覇権争い」が影響しているとの見方も出ている。

 2002年の「めぐりあう時間たち」でアカデミー賞主演女優賞を獲得、米国と豪州の二重国籍を持ち、今年も多数の出演作の撮影のため世界中を飛び回っているというキッドマンさん。

 「飛行機に乗るとワクワクする」と語っていたが、今回の騒動でイメージダウンは避けられず、空の旅で客室乗務員から冷たい視線を浴びることになりそうだ。

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