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冒頭場面は「アキバ体験」に着想 映画「ゼロの未来」 テリー・ギリアム監督インタビュー

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冒頭場面は「アキバ体験」に着想 映画「ゼロの未来」 テリー・ギリアム監督インタビュー

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「便利になり過ぎてもだめなことがある」と語るテリー・ギリアム監督=2015年3月27日、東京都渋谷区(高橋天地撮影)  お気に入りの作務衣(さむえ)姿で楽しそうに取材を受ける米国生まれのテリー・ギリアム監督(74)を報道で目にした読者も多いだろう。それもそのはず、次々と野心作を発表し時代をリードしてきたギリアム監督は大の親日家であり、来日の度に訪れるのが「比叡山」と即答するほどの入れ込みようなのだ。

 カオスの社会

 根底には「日本の神秘な部分に対するあこがれや畏怖」があるそうで、ギリアム監督は具体例に「大都会とうまく共存している自然や神社仏閣の姿」を挙げた。だから日本の若者たちが“わが物顔”で行き交う東京・渋谷や秋葉原といった「カオス」を想起させる忙(せわ)しない街は苦手のようで、「頭がクラクラするからね」と、苦笑いを浮かべながら理解を求めた。だが、そんなギリアム監督の新作SF「ゼロの未来」の舞台がそんなカオスにのみ込まれた社会だというのだから、これまた興味深い。

 人間嫌いの天才コンピューター技師、コーエン(クリストフ・ヴァルツ)はコンピューターで世界を支配する大企業の社員。目下の極秘任務である人生の謎を解く数式「ゼロの定理」の解明に集中するため、寂れた教会に一人籠もって黙々とデータ解析に挑んでいた。ある日、以前パーティーで知り合った魅惑的なベインズリー(メラニー・ティエリー)が訪ねてきて…。

 失われた人間関係

 作品の冒頭、苦手な秋葉原の電気街にインスピレーションを得て、近未来の街をどこかエロチックな色彩で皮肉たっぷりに描いてしまったのだから、コメディアンでもあるギリアム監督の面目躍如たるサービス精神といったところだろう。「私が日本に初めて来たとき、秋葉原を訪れました。秋葉原駅で電車を降りた瞬間、いろんなものが五感に飛び込んできました。それは騒音、映像、洗濯機、タイプライター、ダンサー…。まさに初めて経験したカルチャーショックでした。『ゼロの未来』の冒頭は、私の秋葉原旅行そのものなんですよ」

 孤独を好むコーエンは、あろうことかベインズリーと恋に落ち、数式の秘密を知る青年とは厚い友情を育んでいく。「インターネットの発達で世界はつながったけれど、同時に人間同士を物理的に引き離し、ウエットな人間関係を失わせてしまいました。直接、相手と顔を合わせて意思疎通しなくなったことで、本来の人間関係が持つ素晴らしさが味わえなくなってしまったわけです」。ギリアム監督は便利になり過ぎてしまった文明社会を痛烈に批判したうえで、人間が生きる意味を真正面から問いかけた。本作は骨太なヒューマンドラマなのだ。5月16日から東京・YEBISU GARDEN CINEMAほかで全国順次公開。(高橋天地(たかくに)/SANKEI EXPRESS

 ■Terry Gilliam 1940年11月22日、米国生まれ。60年代にロンドンに移住し、現在は英国籍。コメディーグループ「モンティ・パイソン」のメンバー、アニメーター、映画監督、オペラの演出家と多彩に活動。映画の主な監督作品は、85年「未来世紀ブラジル」、91年「フィッシャー・キング」(ベネチア国際映画祭・銀獅子賞受賞)、98年「ラスベガスをやっつけろ」、2005年「ブラザーズ・グリム」、09年「Dr.パルナサスの鏡」など。

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