SankeiBiz for mobile

カンヌ国際映画祭 女優賞にエマニュエル・ベルコさん 「思いもしない夢、かなえられた」

ニュースカテゴリ:EX CONTENTSのエンタメ

カンヌ国際映画祭 女優賞にエマニュエル・ベルコさん 「思いもしない夢、かなえられた」

更新

「モン・ロワ(私の王様)」(仏)で第68回カンヌ国際映画祭女優賞を獲得したエマニュエル・ベルコ。監督や脚本も手がけるマルチ女優だ=2015年5月24日、フランス・カンヌ(ロイター)  24日夜に行われた第68回カンヌ国際映画祭コンペティション部門の授賞式で、注目された女優賞には、「モン・ロワ(私の王様)」(仏)でスキーで大けがをした女性が、不誠実だが魅力のある恋人との関係に揺れながら人生を再構築していく姿を演じたフランスのエマニュエル・ベルコさん(47)と、「キャロル」(米英)で年上の女性にひかれていくデパートの販売員を演じた米国のルーニー・マーラさん(30)の2人が輝いた。

 満場の拍手に包まれて授賞式の壇上に立ったベルコさんは「2人で女優賞を受賞できてよかった。1人で受け止めるには大きすぎる賞ですから」と切り出し、「人生は思いもしない夢をかなえることができるもの。今夜、私の人生は私が抱いてきた全ての夢を超えてしまいました」と喜びを語った。

 男優賞は「ザ・メイジャー・オブ・ア・マン(マーケットの法則)」(仏)で、失業から抜け出そうとして精神的なジレンマに苦しむ50代の男性労働者を好演したフランスの個性派俳優、バンサン・ランドンさん(55)が受賞した。フランスのセザール賞に3回ノミネートされるなど、性格俳優として実力を知られるランドンさんだが、授賞式の壇上では「カンヌではなかなか賞をもらえないが、今年はフランスの映画が祝福されているらしい」と目頭を押さえながら言葉を詰まらし、感極まった表情をみせた。

 ≪紙一重の女優賞レース 両手に花の監督「幸運」≫

 世界の注目を集めた第68回カンヌ国際映画祭のコンペティション部門で、女優賞の下馬評が高かったのは、トッド・ヘインズ監督の話題作「キャロル」(米英)で、気品と魅力にあふれる大人の女性が、結婚生活に不満を持ちつつ、次第に年下のデパートの女性販売員にひかれていく姿を演じたオーストラリアの女優、ケイト・ブランシェットさん(46)。けれども、授賞式で女優賞に名前を呼ばれたのは、女性販売員役の共演者、ルーニー・マーラさん(30)だった。

 先週上映された作品について、米エンターテイメント誌バラエティー(電子版)は「ブランシェットさんは人の心模様を極めて自然に演じた。マーラさんは優美で落ち着いていて、静かな自信にあふれていた。それが強烈な印象を与えた」と報じている。フランス通信(AFP)によると、紙一重だったとみられる女優賞レースの結果について、ヘインズ監督は「私は実に幸運な映画監督だ。ブランシェットさんとマーラさんのような水準の女優たちと映画を作れたのだから」と感慨を込めた。

 監督賞は、中国・唐代の女性暗殺者を台湾の人気女優、スー・チーさんが演じた「黒衣の刺客」(台湾ほか)の侯孝賢(ホア・シャオシェン)監督(68)に贈られた。1980年代に台頭した台湾ニューシネマの旗手として知られる候監督は、授賞式の壇上で、「映画は製作費の確保が大変だ。全ての関係者と出演者に感謝したい」とあいさつした。「黒衣の刺客」は暗殺者として育てられた主人公が運命に立ち向かう姿を描いたアクション映画。ヒロインを救う遣唐使船の日本人青年役として妻夫木聡(つまぶき・さとし)さん(34)も出演している。

 コンペティション部門には、日本から是枝裕和(これえだ・ひろかず)監督(52)の「海街diary」が出品されたが、受賞を逃した。(EX編集部/撮影:ロイター、AP/SANKEI EXPRESS

 他の受賞作と受賞者は次の通り。

 ■審査員特別大賞(グランプリ) 「サウルの息子」(ハンガリー)ラズロ・ネメシュ監督

 ■審査員賞

「ロブスター」(アイルランドほか)ヨルゴス・ランティモス監督

 ■脚本賞

ミシェル・フランコ「クロニック」(メキシコ)

ランキング