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「輝き発見してくれた」黒沢清監督、カンヌで栄誉 「ある視点」部門 アイスランド作品に大賞

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「輝き発見してくれた」黒沢清監督、カンヌで栄誉 「ある視点」部門 アイスランド作品に大賞

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映画「岸辺の旅」の上映に先立ち、報道陣による撮影に応じる俳優の浅野忠信さん(左)と深津絵里さん(中央)。黒沢清監督(右)は5月23日夜、「ある視点」部門の最優秀監督賞を受賞した=2015年5月17日、フランス・カンヌ(AP)  フランス南部のカンヌで開催中の第68回カンヌ国際映画祭で23日夜、個性的で斬新な作品を対象にした「ある視点」部門の各賞が発表され、黒沢清監督(59)の「岸辺の旅」が最優秀監督賞を受賞した。この部門の最高賞となる「ある視点」大賞には、アイスランドのグリムール・ハコナルソン監督が描いたコメディー映画「ラムズ(RAMS)」(原題)が輝いた。

 「ある視点」部門は、コンペティション部門に入りきらなかった秀作や、独自性の強い作品を集めた部門で、カンヌ国際映画祭ではコンペティション部門に次ぐ位置づけとなっている。黒沢監督は2008年にも「トウキョウソナタ」で、この部門の審査員賞を受賞している。

 授賞式に出席した黒沢監督は「このささやかな、地味な作品から、一つの輝きを審査員の方々が発見してくれた。そういうことが起こるのがカンヌ映画祭だと思う」と喜びを語った。

 「岸辺の旅」は、湯本香樹実さんの小説が原作。3年間の失踪後に突然帰宅し「自分は死んだ」と話す夫とともに、夫が世話になった人々を訪ねて旅をする妻の姿を描いた物語で、深津絵里さん(42)、浅野忠信さん(41)が夫婦を演じた。

 黒沢監督は、深津さんと浅野さんについて、「二人がいたから、こういう人生もあるという映画を初めて描くことができた。日本に帰ったら、二人と『カンヌ楽しかったね』と盛り上がりたい」と述べ、感謝をささげた。作品は日本では10月1日に公開される。

 「ある視点」大賞を受賞した「ラムズ」は、アイスランドにある人里離れた渓谷の村を舞台に、40年間にわたって一言も口をきかなかった羊農家の兄弟が、大切な雄羊を救うために力を合わせていく姿をコメディータッチで描いた。

 これまでドキュメンタリー分野で経験を積んできたハコナルソン監督にとって、この作品は長編2作目。授賞式では「すばらしい作品と著名な監督たちが並んだ『ある視点』部門で、受賞するとは思わなかった。天にも昇る気持ちだ」と喜びを表現。「これはアイスランドで暮らす家族の葛藤を描いているが、世界に通じる普遍性を持った物語だと思う。それでいて、おかしくて楽しい映画だ」と作品をアピールした。

 「ある視点」部門には19作品が招待され、日本からは河瀬直美監督(45)の「あん」も招待されていたが、受賞を逃した。(SANKEI EXPRESS

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