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テロ生まぬために…「作品に答え」 カンヌ映画祭 仏女性監督作で開幕
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貫禄たっぷりにレッドカーペットから観客の声援に応える仏女優、カトリーヌ・ドヌーブさん(右)とエマニュエル・ベルコ監督。作品はカンヌ国際映画祭のオープニングを飾った=2015年5月13日、フランス・カンヌ(AP) 世界三大映画祭の一つ、第68回カンヌ国際映画祭が13日、仏南部カンヌで開幕した。最高賞「パルムドール」などを競うコンペティション部門には、是枝裕和監督(52)の新作「海街diary」を含む19作品がノミネートされており、賞レースの行方が注目される。
13日には開幕式に続いて、フランスを代表する女優、カトリーヌ・ドヌーブさん(71)が判事役で出演した仏女性監督、エマニュエル・ベルコさん(47)の「スタンディング・トール」がオープニング作品として上映された。家庭の事情を抱えトラブルを起こして少年裁判所に行き来しながらも次第に成長する少年と周囲の人々の姿をみずみずしく描いた作品で、会見したベルコ監督は今年1月にパリで起きた風刺週刊紙襲撃テロ事件に触れ、「(テロリストたちは)誰からも守られず、教育も受けていなかった。何がなされるべきなのか、ある意味で、この作品にはその答えがある」と話した。
コンペティション部門には、米国のガス・バン・サント監督(62)が富士山麓の青木ケ原樹海を舞台に自殺志願者の出会いを描く「ザ・シー・オブ・ツリーズ」に米俳優、マシュー・マコノヒーさん(45)とともに渡辺謙さん(55)が出演。台湾の侯孝賢監督(68)が台湾女優のスー・チーさん(39)をヒロインに唐代の女性刺客を描いたアクション時代劇「黒衣の刺客」には妻夫木(つまぶき)聡さん(34)が出演している。このほか、豪女優、ケイト・ブランシェットさん(46)と米女優、ルーニー・マーラさん(30)が同性同士でひかれていく女性たちを演じた英国のトッド・ヘインズ監督(54)の「キャロル(原題)」など話題作が並ぶ。
開幕式に先だち、審査員長を務める米映画監督コーエン兄弟の兄、ジョエルさん(60)は「審査員として自分なりの判断や分析にこだわりすぎると、他人の意見が聞こえなくなる。関係者としてではなく、まず観客の一人として素直に作品をみたい。そして、最も楽しめて、最も多くのことを感じられる作品を選びたい」と話した。
是枝監督がコンペティション部門にノミネートされるのは、今回で4回目。2004年に主演の柳楽優弥さん(25)が最優秀男優賞を受賞した「誰も知らない」のほか、13年には代表作「そして父になる」で最高賞に次ぐ審査員賞を受賞している。「海街diary」は、神奈川県の鎌倉を舞台に、父親の死をきっかけに母親の違う妹と一緒に暮らすことになった姉妹が家族の絆を強めていく物語。女優の綾瀬はるかさん(30)、長沢まさみさん(27)、夏帆さん(23)、広瀬すずさん(16)が姉妹を演じている。
また、「ある視点」部門では川瀨直美監督(45)の「あん」と黒沢清監督(59)の「岸辺の旅」がノミネートされている。各賞は24日夜に発表される。(SANKEI EXPRESS)