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普通の人と同じように自信を持って生きる 映画「ザ・トライブ」 ヤナ・ノヴィコヴァさんに聞く

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普通の人と同じように自信を持って生きる 映画「ザ・トライブ」 ヤナ・ノヴィコヴァさんに聞く

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女優、ヤナ・ノヴィコヴァさん=2015年3月17日(高橋天地撮影)  セルゲイ(グレゴリー・フェセンコ)が入学したろうあ者専門の寄宿学校は、生徒たちが暴力、強盗、売春を稼業とする裏組織「族(トライブ)」の巣窟でもあった。彼らに取り込まれてしまったセルゲイは、やがてリーダーの女、アナ(ヤナ・ノヴィコヴァ)に恋心を抱き…。

 ウクライナの新鋭、ミロスラヴ・スラボシュピツキー監督が手がけたサスペンス作品。プロ俳優ではないろうあ者をすべての登場人物に配した結果、全編が手話で描かれ、生活音はあっても字幕も吹き替えもない個性的な作品だ。

 初めて来日した21歳のヤナは「子供のころから女優になるのが私の夢でした。両親は『耳が聞こえないから無理』と言ったけれど、自分は『女優になる』と言い続けて実現できました。幸運にも『ザ・トライブ』のキャストを探していた監督に出会い、オーディションの機会を得たのです」と、熱のこもった手話で喜びを表現した。

 人生のモットーを聞くと、即座に「『ろうあ者だから何かができない』という考え方は違います。普通の人と同じように自信を持って生きていけばいい」との返事が返ってきた。ヤナはそれでも尻込みするであろう、ろうあ者を念頭に「ときに差別を受けますが、優秀な人はたくさんいます。口頭による発言か手話かというコミュニケーションの方法の違いでしかないのですよ」と強調した。

 新たなタイプの“無声映画”は言霊以上に登場人物の情念を強烈に伝えてくれる。昨年のカンヌ国際映画祭批評家週間でプレミア上映された本作は、グランプリなど3つの賞に輝いた。公開中。(高橋天地(たかくに)/SANKEI EXPRESS

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