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誰が見てもそこに自分自身を見つけるだろう 映画「セッション」 J・K・シモンズさんに聞く

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誰が見てもそこに自分自身を見つけるだろう 映画「セッション」 J・K・シモンズさんに聞く

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米アカデミー賞授賞式で助演男優賞を手にしたJ・K・シモンズさん=2015年2月23日、米カリフォルニア州ロサンゼルス(ロイター)  米国の新鋭、デイミアン・チャゼル(30)が長編映画の監督に挑んだのは、オリジナル作品「セッション」で2作目。第87回アカデミー賞では、J・K・シモンズ(60)に助演男優賞をもたらすなど、計3部門を手中に収めたのは記憶に新しい。撮影時、チャゼル監督はまだ28歳だったというから、なおのこと驚かされた。

 SANKEI EXPRESSのメール取材に応じたシモンズは若き才能の開花について、「ストーリーテラーとしての能力につきるでしょう。一見、自伝的な内容を含んだ若いジャズミュージシャンの物語ですが、誰が見てもそこに自分自身を見つけたり、自分の人生や内面世界に投影できる。つまり、共感が持てる物語だからこそ、大勢の人々の胸に響いたと思います」と推し量った。

 撮影前から猛練習

 ジャズドラマーになることを夢見て名門の音楽学校に入学したアンドリュー(マイルズ・テラー)は、「伝説のスパルタ教師」と言われるフレッチャー(シモンズ)の指導を受けることになった。完璧な演奏を求めるフレッチャーは、罵声を浴びせるわ、物を投げるわ…と、その指導ぶりは想像を絶するものだった。うぬぼれ屋のアンドリューは次第に怒りがこみ上げてきて…。

 観客は激しいジャズの演奏をBGMに常に緊張を強いられ、最後にはいい意味でへとへとになるだろう。シモンズは撮影に入る数カ月前から楽譜の読み方を学んだり、ピアノ演奏や指揮の練習に明け暮れ、だいぶ精神をすり減らしたらしい。「これまでも指揮を勉強したり、ビッグバンドもやったことはあります。でも、この映画のように最後まで通して曲を演奏したり、それも何曲も続けて演奏するのは初めての体験だったので、そこは勉強しなければならない部分でした。結構、複雑な作業を強いられますからね」。撮影の2カ月前には懇意の作曲家の好意で、大会場で行われたコンサートに出演することができ、実際にタクトを振るってライブの雰囲気を体にたたき込んだという。

 役作りで肉体改造

 余計な演出を避け、密室を主な舞台に選んだとしても、映画は人間の情熱、嫉妬、確執をこれほどまでに熱量たっぷりに大迫力で描けるものなのかと、見る者は感心するに違いない。シモンズは「どう考えてもフレッチャーは『周囲の人間を威圧したい』と思っているわけです。そこで僕は、きっと彼は威圧的な肉体をも持っているのではないかと考えました。個人トレーナーとジムに通い詰め、懸命に肉体づくりに励みました」と役作りの一端を明かした。

 思わず「血を吐くのではないか」と心配するほどドラムの練習に打ち込んでいたという主演テラーに関しては、「ニューヨークで演劇と映像の勉強を積んだ才能ある若者。聡明(そうめい)で、努力家で、やる気がすごい」と高く評価。シモンズがとりわけ気に入ったのは、人の話をじっくりと聞くという能力だった。「役者の中には、共演者の演技から何かを学び取ったり、きちんと話に耳を傾けようとしない者が結構多いんです。でもテラーはそれが自然にできる。非常にこれからが楽しみな役者ですよ」

 いろんな役挑戦したい

 本作でオスカーという大きな勲章を手にしたシモンズは今後、どんなキャリアを目指すのだろう。「俳優の仕事については、これからもインディーズ系と大作系の双方に、程よいバランスで出演していきたいです。演じる役柄もいろんなものにチャレンジしたいですよ。でも、出演の決め手は、自分が関心を持てるテーマか、刺激的な役か、面白い物語か-という部分です」

 実際、待機作もバラエティーに富んでいて、アーノルド・シュワルツェネッガー主演のアクション映画「ターミネーター:新起動/ジェニシス」(7月、全米で公開)、撮影中のアクション・スリラー「ザ・アカウンタント(原題)」と大作に続けて出演した後、その次はインディーズに戻ってコメディーに挑戦する予定だという。「家族と一緒に人生を楽しみたい」というささやかな願いは当分かないそうにもない。4月17日からTOHOシネマズ六本木ヒルズほかで全国順次公開。(高橋天地(たかくに)/ SANKEI EXPRESS

 ■J.K. Simmons 1955年1月9日、米デトロイト生まれ。米モンタナ大学で作曲を学んだ後、俳優に。2004年「ER 緊急救命室」、05~12年「クローザー」など多くのテレビシリーズに出演。02、04、07年「スパイダーマン」3部作では、新聞社の編集長を演じた。近年は07年「JUNO ジュノ」、09年「マイレージ、マイライフ」など。「セッション」では、アカデミー賞、ゴールデングローブ賞、英国アカデミー賞など各地の映画賞で助演男優賞を総なめにした。

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