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人生で大切なもの 一概には言えない 映画「ジヌよさらば かむろば村へ」 松田龍平さんインタビュー

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人生で大切なもの 一概には言えない 映画「ジヌよさらば かむろば村へ」 松田龍平さんインタビュー

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完成披露試写会に臨む松田龍平さん=2015年3月12日、東京都千代田区(蔵賢斗撮影)  何も買わないし、何も売らない。過疎の村に移り住んで、目的もなく、ただ生きているだけ…。いがらしみきお原作の人気コミックを実写映画化した「ジヌよさらば かむろば村へ」(松尾スズキ監督)は、引きこもり同然となってしまった元銀行員、タケの成長物語。コメディータッチの演出ながら、たくさんのエピソードを盛り込んで「人生で大切なものとは何か」-と考えさせる骨太な仕上がりとなった。主演の松田龍平(31)は「タケはいろんな人の顔色をうかがって、多くのリアクションをします。これで作品が成立しているのかな?と思ってしまうほどで、仕上がりを見ないと分からないシーンが多かったです」と撮影を振り返った。

 本当の悪者がいない

 自殺に追い込まれた融資先を目の当たりにした銀行員のタケ(松田)は仕事に嫌気が差し、過疎化が進む東北地方のかむろば村へ逃げるようにやってきた。お金を見ると過去の忌まわしい思い出が脳裏に浮かび、気を失ってしまう「お金恐怖症」に苦しんでいた。財産は100万円で手に入れた空き家といくばくかの貯金だけ。「ガスも水道も携帯電話も要らない」「現金は使わない」と声高に宣言したタケだったが、当然ながら生活は成り立たない。村長の与三郎(阿部サダヲ)が妻(松たか子)と経営するスーパーで働くことになった。バイト代は食糧の現物支給。村人たちから教えてもらう畑仕事も覚えたころ、暴力団風の男(松尾スズキ)が村に姿を見せ…。

 ジヌは東北地方の方言で「銭」や「カネ」を意味するらしい。松田は「厳しいですよね。もしお金がなかったら…」と先立つ物の大切さを語る一方で、「人生で大切なものは何か?と考えても、一概には言えません。でも、映画の登場人物は皆、それぞれに事情を抱えながらも、助け合って生きています。本当の悪者がいないんです」とも。松田はじっくりと作品を考察しながら、観客がテーマへと至ることができるように道しるべを示した。

 少しずつ近づける

 松尾監督とのタッグは、俳優として駆け出しの頃だった「恋の門」(2004年)以来となる。当時は気持ちに余裕がなかったが、今ではだいぶ、松尾監督の言わんとすることをのみ込めるようになったという。「松尾監督の演出は難しいので、僕は無理やりに応えようとするよりも、少しずつ近づけていきました。もしできなかったら潔くあきらめます。松尾監督から指示を受けることで、自分自身の中に何らかの変化は起きているはず。松尾監督の言った通りに演技ができなくても、OKが出ればそれでいいのかなと思っています」。作品に登場する村の長老(西田敏行)の金言ではないが、松田は「必ず何とかなる。思った通りではないけれど…」の気持ちで臨んだようにも見えた。4月4日、全国公開。(文:高橋天地(たかくに)/撮影:蔵賢斗/SANKEI EXPRESS

 ■まつだ・りゅうへい 1983年5月9日、東京都生まれ。99年「御法度」で映画デビュー。主な映画出演作は、2009年「ハゲタカ」「劔岳 点の記」「蟹工船」、11・13年「探偵はBARにいる」シリーズ、12年「北のカナリアたち」など。13年「舟を編む」で日本アカデミー賞主演男優賞に輝く。テレビでは、13年のNHK連続テレビ小説「あまちゃん」など。

 ※映画紹介写真にアプリ【かざすンAR】をインストールしたスマホをかざすと、関連する動画を視聴できます(本日の内容は6日間有効です<2015年4月8日まで>)。アプリは「App Store」「Google Playストア」からダウンロードできます(無料)。サポートサイトはhttp://sankei.jp/cl/KazasunAR

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