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みんなどこか心が歪んでいる 舞台「或る、致し方ない罪に対する やるせない復讐のはじまり」 坂上忍さんインタビュー
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思い入れの強い舞台を今年も上演する坂上忍さん=2014年5月12日、東京都港区(中鉢久美子撮影) 数々のバラエティー番組で次々と放つ歯に衣(きぬ)着せぬ物言いがたちまちお茶の間の視聴者の心をつかみ、40代半ばを迎えたかつての天才子役、坂上忍(47)はタレントとして再び大ブレークしてしまった。
だが当の坂上は、俳優こそ自分の本分との思いが強く、自分の演技には責任と誇りを持っている。「テレビ番組に呼んでいただいて責任を果たす仕事もあれば、一方で、何の制約もなく一からもの作りできる場所を年1回ほど確保して、仕事のバランスをとっています。お笑い芸人が年に1度単独ライブをやるような感覚ですよ」
そんな坂上が脚本と演出を手がけた舞台「或る、致し方ない罪に対する やるせない復讐のはじまり」が、4月2日から6日までシアタートラム(東京都世田谷区)で上演される。東日本大震災後、毎年、役者と脚本にマイナーチェンジを加えながら、坂上が力を注いできた強い思い入れのある舞台だ。
物語は、死に場所を求めて集まった犯罪者10人(佐藤かよ、なだぎ武、村上航など)が惨殺ゲームを繰り広げるという過激な内容。舞台上には血が飛び散り、せりふは口に出すのも憚(はばか)られる単語のオンパレード。坂上に言わせれば「ちょっとげすでロックな内容」に仕上がった。
なぜ坂上はそんな物語を執筆したのだろう。「初演は東日本大震災の後でした。人の生死を題材に当たり障りのない美しい内容を書くのも僕の性に合わない。『この時期にやっていいの?』という、えぐいテイストで描けないかと、僕は考えたんです」。批判を覚悟のうえで上演を強行した。
極めて誤解を生みやすい内容だが、坂上の言わんとするところは、「まともなやつなんか誰もいなくて、みんなどこか心が歪(ゆが)んでいて、傷をかかえているものだ」というメッセージ。死を描くことで、生きる意味をじっくりと考えさせるという、一癖ある坂上流の真骨頂が発揮された形だ。
坂上は自殺に対して、「テレビでも発言していますが、否定派ではない」という。もっと正確に言えば、人生を精いっぱい生きることは大前提とした上で、「法律が許すならば自ら命を絶つという選択肢があってもいい」-というスタンスだ。作品の底流には坂上のこんな信念が深く根付いている。
さて、気になるのは観客の反応だが、過去の上演ではスタンディングオベーションも起きたそうだ。坂上は「ロックっぽいから盛り上がったんでしょうか。意外でしたね。こちらが心配するほど、大震災の影響を引きずった感じのお客さんはいませんでした。純粋に楽しんでくれたようです。最後の方の場面で、ちょろっと大震災を想起させる部分もありますが、お客さんがどう感じたかは、聞いてみないと分かりません」。(文:高橋天地(たかくに)/撮影:中鉢久美子/SANKEI EXPRESS)
4月2日から6日まで東京・シアタートラム。問い合わせはアヴァンセ(電)03・5301・3600。