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ドリフターズをイメージ うんと笑って 舞台「SPAMALOT」 企画・上演台本・演出 福田雄一さんインタビュー

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ドリフターズをイメージ うんと笑って 舞台「SPAMALOT」 企画・上演台本・演出 福田雄一さんインタビュー

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「ドリフターズ的笑いを子供にもみてほしい」と話す、演出家の福田雄一さん(藤沢志穂子撮影)  英国の老舗コメディー集団モンティ・パイソンのヒット映画をミュージカル化した「SPAMALOT」が再演される。企画・上演台本・演出の福田雄一(46)はかつて一世を風靡(ふうび)したコント・グループ「ザ・ドリフターズ」をイメージ、主演のアーサー王は初演に続きユースケ・サンタマリアが演じる。福田は「ひたすら笑ってもらえる冒険劇。子供にも見てほしい」と話す。

 「SPAMALOT」は1970年代のモンティ・パイソンの映画「ホーリー・グレイル」を、メンバーのエリック・アイドルがミュージカル化した作品。米ブロードウェーで上演され、2005年のトニー賞で最優秀ミュージカル賞など3部門を受賞。現在も欧米主要国でロングランされている。

 中世の騎士道伝説がベースになっており、アーサー王が神の啓示で聖杯(ホーリー・グレイル)を探しに行き、道中でさまざまなハプニングに遭遇する。モンティ・パイソン独特の毒気は薄まっている内容である点に福田が着目。好評を博した12年の初演に続く再演だ。

 キャストは一部、入れ替えており、ヒロインの「湖の貴婦人」には声優出身の平野綾が新たに参加する。「いろんな声の出せる彼女に思い切り遊んでほしかった」と話す。

 子供も見てほしい

 テレビのバラエティー番組を多く手がけてきた福田は、昭和40年代から50年代にかけ大人気だったザ・ドリフターズの冒険劇をイメージして、舞台を再構成した。「ドリフはいま見ても完成度の高さに驚かされる。アーサー王は、ドリフが砂漠を探検したときのいかりや長介さんと同じで、平野さんはドリフの番組にゲスト出演していたアイドル歌手のようなもの。ストーリーをシンプルにして笑いをたくさん詰め込んでおり、子供にも見てほしい」と話す。

 ひたすら笑ってもらえる舞台が目標。「ミュージカルの敷居を下げたいんです。お金をいただいている以上、端から端のお客さんまで均等に笑ってほしい」。そのため、どの席からも均等に舞台の動きが見えるようセットに気を配る。

 ドリフのように笑えるテレビのバラエティー番組は、近年ほとんど見られなくなった。「大人から見れば子供には見せたくない番組。東日本大震災を契機に、情報を提供する番組が好まれるようになった。コンプライアンス(法令順守)も強化されて、少しでも批判のある番組は打ち切りになることもある」と嘆く。

 そして「テレビドラマでは、いまの日本で視聴率が取れるのは、ドロドロの不倫ものか病院もの。日本人独特の『人の不幸を見て笑う』という文化がある。そういう環境の中で、笑いの番組を作るのは難しい」と冷静に分析する。

 その分、舞台では思い切りはじけることを試みる。スパムとは英語で「くず」の意味もある。「そんな他愛のない笑いがたくさん入っているということ。たとえストーリーがねじ曲がっていたとしても、笑えたらそれが正解(笑)。これもモンティ・パイソンの一つの形。うんと笑って、その後はおいしくご飯を食べてほしい」(藤沢志穂子/SANKEI EXPRESS

 ■ふくだ・ゆういち 1968年7月12日生まれ、栃木県出身。劇作家、放送作家。「笑っていいとも!」「新堂本兄弟」などテレビの高視聴率番組を手がけたほか、ドラマや映画、舞台の脚本、演出など幅広い分野で活躍している。

 【ガイド】

 3月1日まで 赤坂ACTシアター。<問い合わせ>サンライズプロモーション東京(電)0570・00・3337。

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