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心の奥底をたたくと知らない音が聞こえる 舞台「夏目漱石とねこ」 DULL-COLORED POP

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心の奥底をたたくと知らない音が聞こえる 舞台「夏目漱石とねこ」 DULL-COLORED POP

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舞台「夏目漱石とねこ」。(東京)2月15日公演(石川純さん撮影、提供写真)  人気コミックが原作の「プルートゥ PLUTO」の上演台本も手がけた新進気鋭の劇作家、谷賢一が主宰する劇団の新作は、夏目漱石の知られざる素顔を題材とした。かつて谷が別の劇団のために書いた作品を大幅に改訂。30代半ばで作家に転向した漱石の孤独や人間関係の軋轢(あつれき)、秘めた恋などを、史実に基づき、猫と一緒にのぞき込む形を取っている。

 胃を患い臨終間近の漱石の枕元に、「我輩は猫である」の主人公や、留学先のロンドンや教師を務めた愛媛県などから、本人を知る猫たちが集まってくる。里子に出された子供時代、正岡子規との交流、女流歌人、大塚楠緒子との恋などが猫を通して語られていく。引っ越しを繰り返し、妻や子供に対する家庭内暴力もあったなど、意外なエピソードも登場する。

 舞台は簡素な障子戸の和室で音響を極力、排した。その静謐(せいひつ)から伝わってくるのは、漱石が実際に感じていたであろう「寂しさ」だ。多数の評伝も出ている漱石は、負の事実を隠して生き抜いた。「人の心の奥底をたたくと全く知らない音が聞こえてくる。上演が漱石を通して自分を見るきっかけになればと思います」と谷は言う。

 昨秋、東京で上演された自作の「トーキョー・スラム・エンジェルス」では資本主義と金の問題を取り上げるなど、谷は難しい題材を一級のエンターテインメントに仕上げる力を持つ。外部の舞台の演出や台本などを手がけつつオリジナルも書き続けていくという。2月15日まで。東京、座・高円寺 問い合わせ(電)080・5549・7909。(藤沢志穂子/SANKEI EXPRESS

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