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斬新な仕掛け 観客を未来空間に誘う 舞台「PLUTO」
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舞台「PLUTO」(上演台本:谷賢一)。2月1日まで公演(提供写真) 手塚治虫の「鉄腕アトム」をリメークした、浦沢直樹らによる人気コミック「PLUTO」が舞台になった。演出は世界的な振付家シディ・ラルビ・シェルカウイ、主役アトムに森山未來を起用、上演台本は谷賢一。
「アトム」シリーズで人気の高かった「地上最大のロボット」をベースに、人間とロボットが共存する近未来を描く。世界最高水準といわれるロボットが次々と破壊され、ドイツのロボット刑事ゲジヒト(寺脇康文)がアトム(森山)と、事件のカギを握る存在「プルートゥ」を追う。
シェルカウイは手塚作品に着想したダンス作品「テ ヅカ TeZukA」を2012年に東京で公演、森山も参加した。今回の舞台はその延長線上ともいえる。セットは機械部品で囲まれ、可動式の台形型の箱の中で物語が進む。ロボット役の俳優には3人のパフォーマーがつき、操るように動くなど、斬新な仕掛けが観客を未来空間に誘う。
手塚作品のヒューマニズム、浦沢版にある東西世界の対立、「人間は憎しみの連鎖を断ち切れるか」といった精神を舞台にのせることに一定の成果はあった。ただ視覚的な工夫と物語が融合できたかどうかには消化不良の部分も残る。パフォーマーは人間との違いを際立たせる役割とみられるが、動きが分かりにくいと見るむきもあるだろう。
アトムの妹ウランと、ゲジヒトの妻ヘレナの二役を演じた永作博美が好演。2月1日まで東京・Bunkamuraシアターコクーン。大阪公演あり。(藤沢志穂子/SANKEI EXPRESS)