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「生の音楽」楽しんで スチュアート・ウォード、ダニ・デ・ワール 舞台「Once ダブリンの街角で」
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「この作品は僕らにもチャンスを与えてくれた」と話すスチュアート・ウォードさん(左)とダニ・デ・ワールさん=2014年11月30日午後、東京都港区(宮崎瑞穂撮影) ダブリンのミュージシャンの出会いと別れを描いた低予算映画が口コミにより全米で大ヒット、アカデミー賞歌曲賞を受賞してミュージカル版が生まれ、ブロードウェーに進出した舞台はトニー賞の主要部門を制覇、さらにグラミー賞まで受賞という思いがけない成功を果たした「Once ダブリンの街角で」の来日公演が東京・六本木で行われている。主演の2人は「舞台版は生の音楽を楽しめる良さがある」と話す。
「この作品がこんなに大きいヒットになるなんて、最初は誰も想像しなかったでしょう。音楽の素晴らしさが人気を引っぱっている」と、主演の1人で、男性ストリートミュージシャンを演じるスチュアート・ウォード(30)。「人生の岐路に立ったときに何を選択するか。将来への不安や愛といった普遍的なテーマがたくさん詰まっているから、多くの人の共感を得ていると思う」と相手役でチェコ移民の女性ピアニストを演じるダニ・デ・ワール(24)は話す。
ダブリンの街角でギターを弾き語りする売れないミュージシャンが、通りかかったチェコ移民で、楽器店でピアノを弾くのが楽しみのシングルマザーと心を通い合わせ、一緒に音楽を作ってデビューのチャンスをつかむ。2人はニューヨークでの成功を夢見るが、離れて暮らす夫がある女性は身を引く-。いわゆる「ボーイ・ミーツ・ガール」のストーリーだ。
原作は撮影期間17日、制作費は約1500万円という低予算映画で米国から人気に火が付き、世界で約20億円の興行収入をあげた。主演はアイルランドのグレン・ハンザードとチェコ出身のマルケタ・イルグロヴァ。共にミュージシャンで、2人が共作してアカデミー賞を受賞した主題歌「フォーリング・スローリー」の歌詞は郷愁と希望がテーマ。移民の国アメリカだからこそ、原作が持つ世界観が受け入れられやすい土壌があった。
今回の公演チームが秋にロサンゼルスに巡演した際には、グレン・ハンザードがカーテンコールで飛び入りし、古いアイルランド民謡を歌って喝采を浴びた。
スチュアートとダニは英国人。スチュアートはリバプール出身で、アイルランドから英国への移民が最初に船で着く港町でもある。「僕の祖父もそうやって英国に来た。ダブリンには僕も何度か行ったことがあり、郷愁や憧れを感じる」。ダニは、公演前にダブリンのロケ地を訪れ、イメージを膨らませてきたという。
公演の幕あいでは、舞台上のアイリッシュバーで実際にドリンクが買える。現在も舞台版はニューヨークのブロードウェーやロンドンのウエストエンドで公演中。複数の上演カンパニーがあり、今回来日したチームは日本公演の後、全米各都市での巡演に臨む。(文:藤沢志穂子/撮影:宮崎瑞穂/SANKEI EXPRESS)
2014年12月14日まで、東京・EXシアター六本木。問い合わせ キョードー東京 (電)0570・550・799