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ダンスパフォーマンス集団「梅棒」 演劇×J-POP 新感覚エンタメ
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「男ならやってやれ!!」はオタクの少年と悪ガキ少年とアイドルを夢見る少女、幼なじみ3人(写真前列の3人)の友情と恋の物語=2014年11月20日、東京都世田谷区の世田谷パブリックシアター(田中幸美撮影) 内気でオタクな少年とやんちゃな悪ガキ少年、そして歌と踊りが大好きなアイドル歌手を夢見る少女。幼なじみの3人は成長して、オタクな青年、暴走族のメンバー、そしてアイドルとそれぞれの道を歩み始める。だが、ある事件をきっかけに再会、友情を確認する…。
そんな青春ストーリーを、B’zの「LOVE PHANTOM」など誰もが聴き覚えのあるJ-POPナンバーにのせて、全編ダンスで表現するエンターテインメントがある。ダンスパフォーマンス集団「梅棒(うめぼう)」の公演「男なら、やってやれ!!」だ。ときには数十人が舞台狭しとキレキレの群舞を、またときにはステージから飛び降りて客席を巻き込んだ臨場感あふれるパフォーマンスを繰り広げる。ダンスの世界から飛び出し、新たなエンターテインメントの境地を切り開く梅棒の魅力に迫る。
演劇×ダンス×J-POP。梅棒のステージを簡潔に表現すればこうなる。梅棒の演出と振り付けを担当する伊藤今人(いまじん)さん(31)は「演劇を作って、その作品を表現するツールとしてダンスがある」と話す。ドラマチックな大きなストーリーがあり、中にコント仕立ての笑いや、ホロリとさせられる人情話が散りばめられるなど客を楽しませる要素がもりだくさん。とにかく全編を通して笑えるし、大音響のJ-POPは過去の自分の人生を振り返る糸口にもなる。
「まずお客さんが楽しむためにはどうするべきかというのが僕らの根源。誰にでも楽しんで帰ってもらえるところを目指す」と今人さん。
梅棒は2001年、日大芸術学部のジャズダンスサークルの男子だけのチーム、通称「メンズ」が母体になって結成された。女子が圧倒的に多いジャズダンスサークルの中で、秋の文化祭に焦点を合わせて猛特訓を繰り返すメンズは、「体育会を通り越して宗教と軍隊みたいだった。命を削ってやった」という。授業を終えるとすぐに練習が始まり、数少ない振りを繰り返し踊り続ける。それは終電を待つ駅のホームでも続いた。そうしたメンズのフラストレーションから結成したのが梅棒だ。
≪世代と性別超えた感動届ける≫
1年のうち3カ月はメンズの練習だけに没頭し、文化祭が終わると「正直何していいかわからない。遊び方がわからなかった」と、心身ともに燃え尽きて虚脱感に襲われた。
そんな状況から抜け出そうと梅棒の活動を始めた。大学1年だった2001年12月のことだ。
はじめは楽しい曲で楽しく踊るのがスタンスだったが、演劇を専攻していた今人さんは「俺らは一人一人があまりうまくないけど、作り込んでお客さんを沸かせられるぜ」と思うようになる。そこで、わかりやすく盛り上げるには、J-POPを使おうという結論にたどり着いた。最初の曲は光GENJIだった。その後出演し大好評だった関東大学学生ダンス連盟のイベントに「ゲストで呼ばれるようになろう」と目標を設定。
そんなある夜、今人さんは夢を見た。ある曲で、客がシーンと静まりかえり大滑りしてしまう。振り付けも完成していたが急遽(きゅうきょ)、曲をX JAPANの「Rusty Nail」に変更した。そして、初めて1曲の中で踊りながらストーリーを紡ぐという演劇をベースにしたスタイルを採用したのだ。
これは大受けした。イベントの会場となった川崎のクラブチッタは大歓声で揺れた。今人さんは「これで合っていた。あの夢で曲を変えてよかった」と確信したという。さらに「今までに聞いたことのない歓声で、一番気持ちよかった」。05年のことだ。
そこから、J-POPを使ってストーリー展開するスタイルが始まった。さらに学生の中で人気が出た梅棒をコンテストに出したらどうなるか。新たな挑戦の始まりだった。
「ジャパン ダンス ディライト」という日本最大のストリートダンスのコンテストにエントリー。1回目は東京予選で惨敗した。「今見たら恥ずかしくなるような内容で、ダンスもしてなかった」と振り返る。その後、他のダンスチーム同様、コンテストで結果を出すことを目標に励んだ。そして、09年の「ジャパン ダンス ディライトVol.16」決勝で特別賞を獲得。ジャズダンスにJ-POPと、当時のストリートダンスの主流からはみ出してはいたが、客を大いに沸かしたエンターテインメント性が評価された。今人さんは「今までやってきてよかった。認められた」という。
そして11年から始まった、振付師が大勢のダンサーを使って作品を競う「Legend Tokyo(レジェンド・トーキョー)」の第2回大会で見事日本一に輝いた。
レジェンド・トーキョーで優勝した際の5分間の作品を、1時間半に拡大したバージョが今回の公演「男なら、やってやれ!!」だ。今人さんはいう。「ダンスだけじゃない。演劇だけでもない。そこのハイブリッド感が持ち味。世代も性別も選ばず誰でも感動を味わえるエンターテインメントを目指している」
百聞は一見にしかずではないが、とにかく見ないことには始まらない。(田中幸美(さちみ)、写真も/SANKEI EXPRESS)
梅棒3rdSTAGE「男なら、やってやれ!!」大阪公演は2014年12月12日(金)~14日(日)、大阪市北区大深町3の1グランフロント大阪北館4階の「ナレッジキャピタル ナレッジシアター」。福岡公演は2015年1月10日(土)と11日(日)、福岡市中央区渡辺通2の1の82電気ビル共創館4階の「電気ビルみらいホール」で。いずれも前売り4500円(当日)5000円、大学生以下、学生証提示で4000円。大阪公演はキョードーインフォメーション(電)06・7732・8888(午前10時~午後7時)、福岡公演はピクニックチケットセンター(電)050・3539・8330(平日午前11時~午後5時)まで。