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【DANCE@EXPRESS】文化としてのストリートダンス 今や「人間性も鍛えられるもの」に
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日本最大級のダンスバトルイベント「DANCE@LIVE」予選の様子=2014年8月17日、東京都渋谷区(提供写真) 月に2回、ストリートダンス界のさまざまな情報をお届けしている「DANCE@EXPRESS」だが、今日はそもそもストリートダンスとは何であるかをテーマに据える。諸説あるが、日本に入ってきてから30~40年足らずのまだまだ発展途上のこの文化の発祥と日本での成り立ちについて少しだけ触れてみたい。
ストリートダンスの発祥は、もともとは争いの絶えなかったアメリカのギャングたちがけんかの代わりにダンスを用いるようになったという説が有力である。どこの国の若者もそうなのか、青春時代はちょっと「悪い」感じに憧れるもので、そんな彼らの戦う姿を見ていた当時の若者に伝染するように広まっていったのだという。
特に1984年の映画「Breakin’(邦題:ブレイクダンス)」は、日本の若者や、現在世界でこの文化を愛するダンサーたちのバイブルになった。当時のダンサーたちがVHSを擦り切れるほど再生しながら自らの技術を磨いていったからだ。
日本に伝わった当時も、バンドマンが当初そう扱われていたようにストリートダンスは不良の文化とされ、必ずしもポジティブな印象を持つ人ばかりではなかった。理由の一つとして「ストリート」と名のつく通り、公園の一角や閉店したビルの軒先などで練習が行われ、発表の場も「ディスコ」から「クラブ」に名前を変えつつあったホールだったからだ。
紆余(うよ)曲折がありながらも時代は変わり、現在では当時から第一線で活躍していたダンサーたちを筆頭に、メディアへの露出や子供たちへのレッスン、発祥の地アメリカのそれをはるかにしのぐ数のダンスコンテストやダンスバトルの運営、自治体や行政と協力し合って町おこしに用いるなど、不良のイメージから誰にでも平等に開かれたものにするための地道な活動が実を結びつつある。そしてダンスは今や習い事ランキングで1位になるまでに進化した。世界的に見ても日本のストリートダンスの水準はトップクラスであると外国のダンサーも口々に言うほどである。
これは海外から入ってきた文化をかみ砕き、消化して日本独自のものへと進化させていくという、日本人の勤勉さの縮図であるとも見て取れる。この、もはや日本独自のものと言っても良いストリートダンスの文化をこの先さらに進化させ、担っていく次世代の子供たちの中からスーパースターが登場する日もそう遠くなさそうだ。
ダンスは空手や習字、ピアノと同じように技術だけでなく、それを学ぶことによって人間性も鍛えられていくような、想像よりもずっと素晴らしい習い事なのかもしれない。われわれ大人も傍観するだけではなく、今以上に手を差し伸べるべき文化になることを切に期待している。(宮城県出身のダンサー 吉田悠紀/SANKEI EXPRESS)