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キャリア生かし若い世代の「旗振り役」に 舞台「私のホストちゃん」 松岡充さんインタビュー
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「僕が舞台の潤滑油として、旗振り役になろうと考えた」と意気込む、俳優の松岡充さん=2014年11月12日、東京都目黒区(三尾郁恵撮影) ビジュアル系ロックバンド「SOPHIA」を率いた松岡充(43)がゲームを原作とするミュージカル「私のホストちゃん~血闘!福岡中洲編~」に主演する。難病を抱えた伝説のホスト「華音(かのん)」役、出演を打診された当初は戸惑った。野心むき出しの若い世代がナンバーワンを目指してぶつかり合う芝居に、40歳を超えた自分の居場所はあるのかと。「僕が舞台の潤滑油として、旗振り役になろうと考えた」という。
「歌も芝居もあるミュージカルは総合芸術。SOPHIAのライブはMCや演出にこだわっていたので、どんどん演劇寄りになっていたと思う。それが今の自分につながっている」と話す。
「私のホストちゃん」は人気モバイルゲームをもとにテレビドラマ化され、昨年、初めて舞台化された。今回はその続編に当たる。きらびやかなホストの世界をコメディータッチで描き、実際のホストクラブと同じように指名制やランキングを導入。その結果次第でフィナーレが変わる「観客参加型」のエンターテインメントでもある。多くの人気バラエティー番組を手がける鈴木おさむが、総合プロデュースを担当。前方席で特典がついた高額のVIPシートは、すでに全公演完売というから驚きだ。
10~20代の若手俳優が多い中、松岡が起用されたのは、演劇としてのレベルを前作以上に上げるため。松岡は俳優としてもドラマ、映画、舞台と活動の幅は広く、今夏にはミュージカル「キャッチ・ミー・イフ・ユー・キャン」に主演した。バンドのフロントマンとしてのキャリアを、顧客参加型の舞台に生かしてもらう狙いもあった。
ホスト役は以前ドラマで経験、「僕のせりふにもありますが、好きなフリだけじゃダメ。指名した方を本当に口説き落とすよう、気持ちを動かさないとお客さまは納得しない。まずはそこから追求していきたい。演劇ファンの皆さんも満足するレベルにしたい」と話す。
作品はドタバタ・コメディーの要素も大きい。「日常の悩みや不安、ストレスをぶっ飛ばし、生きていることが楽しいと思ってもらうのが一番の目的。『そう来るか!』というバカバカしいことを、本気でやらないと笑ってもらえない。その姿を見て初めて、お客さまに感動してもらえる」と意気込む。
キャリアを重ねた分、今回は若い世代の俳優たちを引っぱる「座長」としての役割を意識する。ランキングも絡むだけに、各ホストの自己主張の強さばかりが目立っては、舞台が混乱するからだ。「『俺が俺が』ではなく、相手のせりふを表現させてあげる『つなぎ』も注意しています」
若い共演者たちとのやり取りは新鮮。「しっかりしているんだか適当なんだか、よく分からない部分もありますけど(笑)、みんなビッグになりたいと思ってます。僕が出ていたドラマを『小学生の頃見ていました』って言われてうれしかったですね」
座長としての経験は、自分のキャリアを見つめ直すきっかけともなっている。「僕が表現したいのは、多感な時期を乗り越えて大人になるまでの過程。でも年齢的なことを考えると、役者なら脇を固める方になっていく。自分の経験をメーンに書いて、誰かにやってもらう方がやりやすくなるかも」と、今後は演出やプロデュースの仕事にも取り組みたい考えだ。(文:藤沢志穂子/撮影:三尾郁恵/SANKEI EXPRESS)
2014年12月5~14日 日本青年館大ホール。問い合わせ:サンライズプロモーション東京 (電)0570・00・3337。12月26、27日に大阪公演あり。