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緊迫感高まる「究極の愛」 舞台「スリル・ミー」

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緊迫感高まる「究極の愛」 舞台「スリル・ミー」

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舞台「スリル・ミー」(栗山民也演出)の尾上松也さん(左)と柿澤勇人さん(渡部孝弘さん撮影、ホリプロ提供)  米国で実際に起きた少年の誘拐殺人事件をベースとした、男優2人とピアニストだけによる翻訳ミュージカル。異なる俳優の組み合わせで繰り返し上演されてきたヒット作で、日本では今回5度目の再演、3組の俳優による上演となった。その中で初参加の尾上松也(おのえ・まつや、29)と、4回目の参加となる柿澤勇人(はやと、27)のコンビを見た。

 尾上と柿澤が演じる犯人の男子学生は、完全犯罪を遂行できる力があると証明するために事件を起こしたとされ、同性愛関係にあったともいう。こうした背景が少しずつ明らかになっていく舞台は言葉が歌われるように流れていき、ミュージカルというよりストレートプレーを見ているような印象。シンプルな舞台を背景に、緊迫感を高めていく朴勝哲のピアノが秀逸だ。

 尾上と柿澤は昨年、舞台「ロミオとジュリエット」で共演した。出演を打診された尾上は、まず柿澤に相談、「やりがいのある作品だから絶対に出るべき」と言われたという。尾上の役どころは、愛するあまりの工作が、結果として相手を窮地に立たせる。舞台が進むにつれて、次第に明らかになっていく複雑な内面を「自分の愛が報われなくて屈折したり、純粋な愛ゆえに異常な行動を取ることは誰にでも起こりうる」と話す。

 演出の栗山民也が「究極の愛」という物語は、俳優の持ち味によって風景が変わる。ほか田代万里生(まりお)と伊礼彼方(いれい・かなた)、松下洸平と小西遼生(りょうせい)のコンビ。早くも次の新しい組み合わせを見てみたくなった。11月24日まで東京・天王洲銀河劇場。29日に大阪・サンケイホールブリーゼで公演。(藤沢志穂子/SANKEI EXPRESS

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