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対峙して言葉を交わすことが大事 浦井健治、鈴木杏 舞台「星ノ数ホド」

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対峙して言葉を交わすことが大事 浦井健治、鈴木杏 舞台「星ノ数ホド」

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「杏(あん)ちゃんて芝居オタク」「浦井さんてガードが固い」と互いを評する浦井健治さん(左)と鈴木杏さん=2014年11月17日、東京都渋谷区(寺河内美奈撮影)  舞台やドラマに引っ張りだこの若手実力派、浦井健治(33)と鈴木杏(あん、27)が初共演し12月、ともに初めてという2人芝居に挑戦する。英国で2012年に初演された作品の翻訳劇「星ノ数ホド」で、出会った男女がぶつかり合いながらも関係を深めていく経過を、似たようで少しずつ異なるシーンを繰り返しながら展開していく実験的な作品。本国で高い評価を受けた原作は、12月から米ブロードウェーでの公演もスタート、はからずも「日米競演」となる話題作だ。

 実験的な作品

 「星ノ数ホド」の原作は英劇作家ニック・ペインの「CONSTELLATIONS(星座)」。物理学者の女性マリアンと養蜂家のローランドの、数年間にわたる「濃密な対峙(たいじ)」を描く。

 目の前の現実は、実は天文学的な確率の中で選択された出来事で、ふとしたことで別の展開になっていた可能性がある。背景には量子力学の考え方があり、物語は2人の関係のさまざまな可能性を紡ぎながら進む。終盤には生きること、死ぬことに関する課題も登場。実験的な作品だけに、表現の苦労は尽きない。

 浦井は「作者が自分の周囲で起きたことに心から向き合って作品にぶつけたという印象。人生には星の数ほどいろんな可能性、願いがあるんだと。その中で見る人が何かに共感して、人との接点をもっと見つけようとか、優しい気持ちになれたらいいのでは」と「濃密な対峙」の意味を解きほぐそうとする。

 鈴木は「SNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)でコミュニケーション量は増えたけれど、密度はどうなのかと、人と対峙して言葉を交わす大事さも伝えている。いろんな要素が詰まっている作品で、お客さまには必ず何か『お土産』を持って帰ってもらえるはず」と意気込む。

 セラピー受けてるよう

 鈴木は物理学者に話を聞き、浦井は養蜂家を訪ねるなどして準備を重ねている。「杏ちゃんて、貪欲で真正面からチャレンジする『芝居オタク』」「浦井さんて、休憩中も台本ばかり読んでいてガードが堅い」と笑い合う2人。演出の小川絵梨子には全幅の信頼を置く。

 浦井の台本は書き込みで真っ黒になったが、小川に没収され「書き込み禁止」と新しい台本を渡された。「やったことのない2人芝居で恐怖感があった。でも小川さんに『いったん全部捨てて、2人の間で起きる現象をちゃんと作ろう』といわれて楽になった」と浦井。鈴木も「表現で武装しがちなところを、小川さんが剥がしてくれる。演劇を使ってセラピーを受けているような感じ」と話す。

 「星ノ数ホド」は地方を含めると年末まで公演が続く。来年の浦井は、インド映画界を描くミュージカル「ボンベイドリームス」に1月から出演するなど舞台の予定がめじろ押し。「今後はもっと役者としての幅を広げ、芝居と違う自分の方向性も試していけたら」と意気込む。

 鈴木は今年の再演に参加した「海辺のカフカ」で来年、英米で予定されている公演に参加する。「仕事で忙しいのは大歓迎。20歳代後半は第二次多感期だと思う。体力のあるうちに書くこととか、芝居以外の新しいことにも挑戦したい」と笑った。(文:藤沢志穂子/撮影:寺河内美奈/SANKEI EXPRESS

 【ガイド】

 2014年12月3~21日、新国立劇場小劇場。問い合わせ 新国立劇場ボックスオフィス(電)03・5352・9999。ほか兵庫県立芸術文化センターで12月27日に公演あり。

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