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いいコート選んで10年着る 小物と組み合わせ、おしゃれ楽しむ 松屋銀座メンズバイヤー 宮崎俊一さんに聞く
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アイルランド伝統の手織りのドネガルツイードを織ったチェスターフィールドコート(12万円)。クラシックな装いには革製の手袋が似合う=2015年1月5日、東京都中央区銀座の松屋銀座店(野村成次撮影)
冬本番となり、厚手のコートが欠かせない時期。流行に左右されにくいメンズコートは「いいものを1着買えば10年は活用できる」と東京・松屋銀座のメンズバイヤー、宮崎俊一さんは言う。上質なコートを、スマートにおしゃれに着こなす技を聞いた。
メンズファッションの流行のサイクルは「コートは10年、スーツは5年」と宮崎さんは言う。ともすれば寒さ対策を優先して地味なスタイルになりがちだが、上質な品を選び、小物を組み合わせれば、長くおしゃれを楽しめる良さがある。
まずは松屋オリジナル「N・U・M」ブランドのチェスターフィールドコート。アイルランド伝統のドネガルツイードを、1960年代のヴィンテージものの現物をベースに、オレンジやターコイズ、エメラルドグリーンなど20色以上の糸を選んで織り込んだ、温かみのあるウール100%の手織り素材だ。
往年の品よりウエストを絞っており、着丈は膝が隠れるまで、袖は親指の付け根までの長さがそれぞれちょうどいい。秋口はシャツの上、真冬はニットやスーツの上に羽織れば長い期間で大活躍。ビジネスにもカジュアルにも対応可能だ。
実は下の最後のボタンは外すのがルール。「『アンボタン・ルール』といい、スーツもベストもそう着るように作られています。無理にはめると、しわが寄ってしまうので要注意。スマートに着こなしましょう」と宮崎さん。カシミヤ素材にこだわる人もいるかもしれないが、「毎日着るならウールが一番。軽くて十分温かいですよ」。
中高生から年配層まで幅広いファンを持つピーコートもN・U・Mブランドは一筋縄ではいかない。細身で2枚の厚手の生地を合わせたダブルフェイス。オススメはグレー。「紺や黒といった定番カラーは、コントラストがはっきりしすぎてかえって使いにくい。グレーの方がデニムやチノパンなど、いろいろな素材を合わせやすいです」
襟の裏はグリーンも織り込んだチェック柄で、襟を立てて「チラ見」させるのが粋。ストールを巻いてアクセントにしよう。数年前まで凝った巻き方がはやったが、「最近はシンプルに巻くのがトレンドです」。
そのストールもさまざまな色や素材がそろう。希少性の高い生後6カ月までのモンゴル産カシミヤヤギを使ったBABY CASHのストールは、パープルなどのパステルカラーから赤やピンクといった暖色系まで、男女兼用で春先まで楽しめる。「出張時に飛行機の機内に持ち込むと、寒さ対策ほか大活躍します。デートの際に男性が、寒いときなどに女性にさりげなく渡せるよう1枚、持っていると見直してもらえるかも」
カシミヤ素材に勝るとも劣らないのがシルク100%のマフラー。国内の一大産地である京都・丹後地方の極上の手紡ぎ糸を、熟練した呉服織りの職人が1日1枚しか織れないというKUSKAの品は滑らかな手触りにふわふわの温かさ。「空気を含ませるように織っていて、使い込むごとになじんで味わいが出てきます」
スタイルの最後のキメは手袋。定番の素材はカーフ(子牛の革)や牛革だが、最高級とされるイノシシ革「ペッカリー」に挑戦してみたい。南米に生息しており伸縮性が高く通気性にも優れており、価格はカーフの倍以上。18世紀に創業した英国の名門デンツ社製、手袋をはめたまま紙幣を数えられるように作られている。丈夫で水洗いでき「手にはめたまま洗えます」と実用性も高い、一生ものの手袋で、ウイメンズもある。
今回紹介したコートの中に着るのは、シャツでもニットでもスーツでも合わせやすい。ストールやマフラーは女性も使えるユニセックス。大事な人へのプレゼントリストに加えておきたい。(文:藤沢志穂子/撮影:野村成次/SANKEI EXPRESS)
※価格はすべて税別です。