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ジャケットは素材で差をつける 松屋銀座メンズバイヤー 宮崎俊一さんに聞く
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ションヘル織機で織られた生地を使った「アトリエメイド」の紺のジャケット(5万円)に、「カルツォーニ」のグレーのスラックス(1万9000円)のコーディネート。松屋オリジナルドレスシャツ(1万3000円)とウールネクタイ(9000円)をあわせて=2014年10月3日、東京都中央区(大山実撮影)
ワンパターンになりがちな男性のコーディネート、オンとオフをどう使い分けようかと悩む男性は多いのではないでしょうか。そこで2012年7月から1年間、男性のファッションを中心に連載してくださった東京・松屋銀座の紳士服バイヤー、宮崎俊一さんに再登場をお願いしました。宮崎さんは、第一印象の決め手となるジャケットに「『素材』で差をつけましょう」と話します。
今年秋冬のトレンド素材の一つがツイード。中でも年々、人気が高まっているのが「ハリスツイード」だ。スコットランド北西部の島、ハリス・アンド・ルイス島の島民たちが手織り織機で織った生地が発祥で、狩りなどの際に着用された丈夫で素朴なジャケットだ。現在は英国の「ハリスツイード協会」が認定したものだけが、ブランドを名乗ることを許されている。
宮崎さんは松屋オリジナルブランド「アトリエメイド」のジャケット(5万円)を、「10年は着られます。中国などでも人気が出て品薄となり、どんどん値段が上がりそう。いま買うのがチャンスです」と推薦。「合わせるパンツは起毛感のあるサキソニーやフランネル素材がおすすめで、ジャケットのツイード素材ともバランスのとれたコーディネートに」
「国産の生地にも注目です」と宮崎さん。「アトリエメイド」定番の紺ジャケット(5万円)は独ションヘル社が開発した「ションヘル式織機」で織った生地を使用している。国産ウールの6割以上を生産する愛知県で、国産の同じ型の織機が半世紀以上も前から使われている。通常の4~5倍の時間をかけて生地を織るので、しっかりした質感と膨らみがあり、耐久性に優れているという。「着込んでいくうち体になじみ、味わいが出てきます。着て『育てる』感覚ですね」。合わせるならグレーのスラックスがオススメだ。
同じ紺でも、違う印象を出したいなら「ブークレ」、表面に糸のループが出た素材だ。この1~2年でイタリアなどのショーで注目を集めた経緯があり、日本では今年、一気にブレークしそうな気配がある。「センタープレスの入ったチノパンを合わせるときちっと感が出ます」。カジュアル感を出すなら、中にカーディガンやセーターを重ね着するといい。
休日はニットジャケット(3万3000円)にも挑戦してみよう。ざっくりした中くらいのゲージの「ラッセル編み」が今年秋冬のトレンド。襟付きのテーラードで大人の雰囲気を出せる。チェックのシャツとコーデュロイパンツを合わせて、ワンランク上のカジュアル感を出そう。「おしゃれ上級者は、白いシャツにスカーフやストールを巻いてもいいですね」
全身コーディネートで大事なのは、パンツの丈を靴の上すれすれ、ソックスが見えるか見えないかの位置に持ってくること。「最近は細身のパンツが増えて、裾が長いともたついた印象になってしまいます。気をつけてくださいね」と宮崎さん。
合わせる靴はスエード製がオススメだ。「起毛素材のジャケットやパンツとの相性が抜群で、バランスの取れたコーディネートには欠かせません」。バイヤーとして世界中を飛び回る宮崎さんは、スエード靴を必ず荷物に入れている。「実はスーツからジーンズまで何にでも合うんです。意外に手入れも簡単で、起毛している部分にブラッシングをかければ大丈夫。お持ちでない方は、この機会にぜひ一足」。思い切って英チャーチ社のチャッカーブーツ(5万9000円)を試してもいい。
ネクタイは普段のシルク製でなく、温もりのあるウール製をそろえてみよう。「膨らみのある柔らかさがシルクの光沢感より温かい印象を与えます」
ジャケット一つとってもいろんな素材があり、意外なコーディネートを試すことができる。工夫を楽しみながら、ひと味違うスタイルを目指してみよう。(文:藤沢志穂子/撮影:大山実/SANKEI EXPRESS)