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生きていれば何とかなる! 古田新太、高畑充希 舞台「いやおうなしに」
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「おいらの腕枕って人気あるんだぜ」「え、誰に?」と笑い会う古田新太(あらた)さん(右)と高畑充希(みつき)さん=2014年12月11日午後、東京都新宿区(宮崎瑞穂撮影) 今年50歳を迎える古田新太(ふるた・あらた、49)と「年女」の24歳となる高畑充希(たかはた・みつき、23)が9日開幕の舞台「いやおうなしに」に挑む。「歌謡ファンク喜劇」と銘打つ新作の音楽劇で、もつ煮込み店を舞台にハチャメチャな男女たちが登場。社会の底辺ともいえる人間模様を描くことで「生きていれば何とかなる」とのメッセージもこめる。中心になる親子を演じる2人は「新春から大笑いして『よっしゃやるぜ2015!』と感じて」と話す。
「芝居は完全セクハラだもんな」とからかう古田に、「ひどい歌詞だけど楽しんでやるしかない」と開き直る高畑。それほど「いやおうなしに」は、意味深長で人間の本音を丸出ししたような世界が展開されていく。
神奈川県内の国道沿いにオープンした「ららホルモン」が舞台で、店主の太一を古田、妻の奈美子を小泉今日子(48)、その娘で野球部のマネージャーである芳奈を高畑がそれぞれ演じる。カルト的な人気を持つバンド「面影ラッキーホール」の楽曲をベースとしており、劇中歌は「好きな男の名前 腕にコンパスの針でかいた」「パチンコやってる間に産まれて間もない娘を車の中で死なせた…夏」「俺のせいで甲子園に行けなかった」など。
舞台化のきっかけは演出の河原雅彦が3年ほど前、やはり「面影」のファンだった古田に「音楽劇にしよう」と持ちかけたこと。話はとんとん拍子に進み、演劇仲間である福原充則が脚本を書き、田口トモロヲ、高田聖子などバンドの世界に共感する俳優たちが集まった。高畑は以前、河原や福原と一緒に仕事をした経緯から出演を決めた。
古田は小泉と共演したNHK連続テレビ小説「あまちゃん」で、高畑はヒロインの義妹を演じた「ごちそうさん」でそれぞれ人気が全国区となった。だが「いやおうなしに」はそのイメージを真っ向から裏切る。
「テレビではとても紹介できない破廉恥で不謹慎な歌ばかり(笑)。『偉くなりたい』とか『金持ちになりたい』とか考えない底辺の人たちを見て、お客さんは『自分の方がまだマシ』と笑える。基本テーマは『生きていれば何とかなる』。歌謡ショーやライブを見る感覚で来てほしい」と古田は話す。
高畑は「目と耳から入る情報は単純にカッコイイ。人生は10しんどいことがあっても1つ幸せなことがあればいい、というメッセージもある。観劇始めにぴったり」と微笑む。
もともと舞台が好きで女優を志した高畑は、ミュージカル「ピーターパン」を長く演じ、昨年は舞台「奇跡の人」でヘレン・ケラーも演じた。1月開始のテレビドラマでは恋愛・セックス依存症の女性を演じるという。今年は「殻を破っていく年になるかな」。
そんな高畑が、古田から学びたいと考えているのは独特の「適当術」。「面白い芝居を作っていくことだけを24時間考えて、あとは適当(笑)。自分が楽しめなければいい芝居はできない。20代に何でもやっておけば地肩が強くなり、40代で怖いものはなくなる」
そう諭す古田は人気漫画の実写化でカワウソまで演じ、「もし女子高校生の役が来たら頑張るな」と、来る仕事を面白がってこなしてきた。ただ50歳を前に人生の残り時間も考えるようになったという。「あと10年かと。舞台はこれまで200本やってきたけれど、今後は1年3本ずつとして30本。お客さんにゲラゲラ笑ってもらえるか、自分が面白いと思える仕事を中心にしていきたい」
笑う門には福来たる。ともに節目の年を迎え、何でも面白がろうとする古田と高畑。「いやおうなしに」を見ると、幸先のいいスタートが切れそうだ。(文:藤沢志穂子/撮影:宮崎瑞穂/SANKEI EXPRESS)
1曲ごとに完結したストーリーを持ち、レトロ調のメロディーと相まって「ノワール歌謡ファンク」とも呼ばれ、吉本隆明や宮藤官九郎など文学・演劇関係者からの評価が高い。「1980年代の香りがする」「当時の中森明菜の歌のよう」などの見方もある。「いやおうなしに」の上演を契機に、劇中で歌われる曲の再録や未発表曲を収録したベスト盤を1月14日に発売する。ジャケットはイラストレーターの安齋肇氏が手がけた。