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無実の罪で獄中に 強靱な精神表現したい 佐々木蔵之介、國村隼 舞台「ロンドン版 ショーシャンクの空に」
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物語はほとんど鉄格子の中で展開される。アンディ(中央、佐々木蔵之介)の独房でのレッド(左、國村隼)とのやり取り。米女優リタ・ヘイワースのポスター(右)が舞台回しのカギとなる=2014年12月10日、東京都千代田区・日比谷シアタークリエ(東宝提供) 無実の罪で終身刑となった元銀行員が、刑務所で生き抜いていく姿を中心に描く「ロンドン版 ショーシャンクの空に」が東京・日比谷シアタークリエで上演されている。映画版がヒューマン・ドラマとして評価の高い作品で、主演の囚人2人を佐々木蔵之介(46)と國村隼(じゅん、59)が演じる。物語の語り部的存在であるレッドを演じる國村は「キーワードは『希望』。もう一度、映画が見たくなるような舞台にしたい」と意気込む。
映画は1994年に米国で公開された「ショーシャンクの空に」。40年代後半、妻と愛人を射殺したとする罪で元銀行副頭取のアンディ(ティム・ロビンス)がショーシャンク刑務所に収監される。アンディは心身ともに痛めつけられ、生き抜くために刑務所長の不正蓄財に手を貸しながらも希望を失わず、物品の調達屋レッド(モーガン・フリーマン)ら周囲の心を動かしていく。原作は映画「スタンド・バイ・ミー」の原作者でもある米作家スティーブン・キングで、95年の米アカデミー賞主要部門にノミネートされた。
舞台のほとんどは鉄格子の中で展開される。演出の白井晃は「人の社会はいかに理不尽なことが多いかを書くために、作者は刑務所を借りた」と解釈し、おりの中のような舞台を作った。刑務所を自分たちの住む社会に置き換えて、日々の生活で希望を持ち、それに向かって努力しているかどうかを問いかけている。
佐々木が演じるアンディは始終、刑務官や囚人たちから殴る蹴るの暴行を受ける。生傷が絶えない中で、レッドから調達した小型ハンマーでひそかに壁を掘り続け、ついには脱獄に成功する。「無実の罪で19年間も獄中で過ごしたアンディの強靱(きょうじん)な精神を表現したい。劇場では囚人体験をしていただける。映画が有名なので、演劇入門編として見に来てほしい」と話す。
國村は映画版のモーガン・フリーマンに憧れ、レッド役を熱望していた。仮出所申請を何度も却下されて希望を失っていたレッドが、アンディが気になって定点観測しているうち、少しずつ心を動かされて前向きになっていく心のひだを丁寧に演じる。「『俺にも何かできるんじゃないか』と感じ始める心境の変化を表現することで、『希望』の意味を伝えられる」と話す。
レッドは最後には出所して、国外にいるアンディと再会する。ただ「再会はレッドの希望で現実に起きたことなのかどうか。もしかしたら妄想かも知れない」(國村)と含みを残す。
出演は男性のみ総勢18人。アンディが勉強を教えるトミーを演じる三浦涼介(27)が清涼剤的な役割を果たしている。「ロックンロール的な気質のキャラクター。格好良く演じたい」と三浦。図書係の老人ブルックシー役の小林勝也(71)は、三十数年に渡る服役を終え、社会に出ることを恐れる臆病さを演じて秀逸。ほか冷酷な刑務所長スタマス役で板尾創路(いつじ、51)が出演。(藤沢志穂子/SANKEI EXPRESS)
2014年12月29日まで、東京・日比谷シアタークリエ。東宝テレザーブ(電)03・3201・7777。2015年1月に仙台、名古屋、広島、大阪、福岡で公演あり。