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「一匹おおかみ」の主人公に生き方重ねる 映画「メンフィス」 山本耕史さんインタビュー
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伝説のバンド「BOOWY(ボウイ)」のファン。「氷室京介さんと布袋寅泰さんが一緒に演奏しているところをもう一度見てみたい」=2015年1月14日、東京都墨田区(野村成次撮影) 人種差別の根強い1950年代の米国南部で黒人音楽を広めようとした、実在の白人ディスクジョッキー(DJ)を描くミュージカル「メンフィス」が東京で上演されている。主演の山本耕史(38)は、自分が良いと思うことを信じて、時代を動かそうとした一匹おおかみの主人公ヒューイに「僕もそうありたい」と自分自身の生き方を重ねる。
「メンフィス」は米トニー賞で2010年、最優秀作品賞など4部門を獲得しており、今回が日本初演。米メンフィスに住む白人青年ヒューイ(山本)が、黒人専用のナイトクラブで歌手フェリシア(濱田めぐみ)の歌声に魅せられる。ヒューイは勤務先のデパートで、禁じられている黒人音楽のレコードを売りまくってクビになり、めげずにラジオ局に乗り込んで、街中に流して大評判となる。
音楽は米国の世界的ロックバンド、ボン・ジョヴィのデヴィッド・ブライアンが手がけた。山本自身は黒人音楽のルーツでもあるブルースが好きで、自らギターを弾き、バンド活動も行う音楽通。「50年代と今の音楽のコラボレーションのような作品で、両方のテイストがあるのが魅力。良い音楽は人を結びつけるという音楽のパワーを感じます」と話す。
切ないラブストーリーも織り交ぜて描く米国の50年代の人種差別は、現代の日本での受け止められ方はさまざまだろう。「音楽の力を感じ、一人の青年の生き方を応援したくなる。曲やノリの良さで難しいことを考えずに見ていられて、何かが残る作品だと思います」
ヒューイの「一匹おおかみ」的な生き方に自分を重ねる。子役でデビューした山本は、あえて大きな組織に所属せず、自力で舞台やドラマに映画と活動の幅を広げ、ミュージカルからコメディー、時代劇までこなす実力をつけてきた自負がある。「主流の中の『亜流』でいないと時代は動かない。一人でダメでもやり続ける方が『ロック』を感じます」
40歳を前に、日本の演劇界を「何とかしたい」という思いが募る。「米ブロードウェーから100年は遅れている。(ディスカウントのチケットショップ)TKTSがない、劇場が密集する地域がないとか理由はいろいろあるだろうけれど、舞台俳優になろうと思う人は少なく、劇場まで足を運ぶ若者も少ない」
2010年に主演、初めて演出を手がけた米国のロックミュージカル「ゴッドスペル」では、未完成な若手をあえて出演させた。「どこかで習ったうまさに魅力はない。お客さんは下手と思うかもしれないけど、足りない人こそ、すごいものを秘めている。怖かったりハラハラするところが第一歩になる」
俳優としての原点はチャプリン。子供のころ「モダン・タイムス」や「キッド」などの映画を「不思議な人だなあ」と感じながら見つめていた。「斜(はす)から世間を見るレジスタンスがある。絶対に面白いと自分で思ったのでしょう。そんな確固たる自信やエネルギーを僕も持ちたい」
自分が良いと思うものを信じて、何かを変えたいと突き進む姿勢は、ヒューイとだぶる。「僕はボイストレーニングやダンスなど基礎をきちんと勉強したことはなくて、自分がかっこいいと思う物を具現化してきた。僕を見習ってくれる人がいるのなら、僕のように一人でいてほしいと思います」。一匹おおかみの「ロック魂」は、どこまでもかっこいい。(文:藤沢志穂子/撮影:野村成次/SANKEI EXPRESS)
2月10日まで 東京・赤坂ACTシアター。問い合わせ ホリプロチケットセンター(電)03・3490・4949