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「70年代」 レトロでリラックス ファッションディレクターの関本美弥子さんに聞く

 まだまだ寒さは厳しいものの、梅がほころび始め、春はすぐそこに。今年の春物は1970年代のレトロ調を取り入れた、リラックス感がトレンドだ。定番のスポーツカジュアルにも、エレガントさを加味した、着心地のよいおしゃれな新作が並ぶ。ちょっと懐かしいけれど新しい。そんな着こなしのポイントを、東京・松屋銀座のファッションディレクター、関本美弥子さんに聞いた。

 70年代といえば、米国でベトナム戦争への反戦ムードが高まり、サンフランシスコ発のヒッピー文化を中心とする「フラワー・ムーブメント」が盛り上がった時代。「ラブ&ピース」を合言葉にゆったりした着心地のよいファッションが浸透した。なぜいま再び70年代なのか。

 手作り、ぬくもり感

 「前提として『肩の力を抜いてリラックスする』という意味の『エフォートレス』のトレンドがあります。ソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)の普及で、ファッションについても大量の情報が入手でき、大量に消費される時期がしばらく続きました。その反動が来ているということでしょう」

 「例えば米国のポートランドが注目を集めているのも、人と人とのFace to Faceのコミュニケーションを大事にしているからだと思います」と関本さんは分析する。

 「エフォートレス」の代表格がセットアップ。「今年はいつもより多く出てきています」と関本さん。リタズダイアリーはいちご柄のセットアップ風ワンピースでレトロなハッピー感を演出。きちんと見えてリラックスに着こなせる便利さがある。裾は膝が隠れる「ミモレ丈」が中心。大ぶりのいちごをあしらったアクセサリーがぴったりだ。

 同じくリタズダイアリーでは、ラッフル(ひだ)のついたコットンTシャツに、サマーウール素材でたっぷりした作りの長めのショートパンツ「ガウチョパンツ」を合わせた。「『ガウチョ』は昨年からトレンドとして浮上。ぜひトライして」と関本さんの特別オススメ品。エレガントかつスポーティーなコーディネートには、きちんと感のあるフラットシューズが似合うという。

 軽やかにスポーツ風

 カジュアルな装いでは、スポーツ風ファッションをフェミニンかつ軽やかに進化させた「グラマラス・スポーツ」に注目。リタズダイアリーでは定番のVネックセーターを、白と紺のバイカラーにして網目模様を入れて凝った作りに仕上げた。合わせる紺のプリーツスカートには、アクセントで裾に白いラインをあしらった。「白をアクセントに利かせるのが今のトレンド。真っ白からオフホワイトまでの色味がいいでしょう」

 シックな色合い

 色使いでは今年、青や緑に注目。「鮮やかな赤やオレンジといった色の人気が続いていましたが、少し変わってきたようです」と関本さん。レトロ感のある、シックで落ち着いた色合いが復権している。アリス アンド オリビアでは、黒地に青を組み合わせた「ブロッキング・カラー」でギャザースカートを作り、クラシカルで洗練されたムードを演出している。

 小物でもブロッキング・カラーはトレンドだ。A.D.M.J.のストラップ付きボストンは白のライン使いが印象的。バッグも巾着型や、肩に掛ける袋をイメージした「ホーボー型」など、70年代を思わせるレトロで使いやすいデザインが復活している。

 アクセサリーではフリンジを利かせたストール、花やチョウ、ターコイズの大ぶりモチーフを組み合わせたネックレスが70年代のテイストを出しつつ、今のトレンドを感じさせるぬくもりがある。ローマ発のグログランリボンを使ったカチューシャスタイルのヘアアクセサリーも試してみたい。懐かしくも新しいトレンドは、母子二代でも楽しめそうだ。(文:藤沢志穂子/撮影:川口良介/SANKEI EXPRESS

 ■せきもと・みやこ 1986年、米国トーメン入社。マーケティング業務などに携わる。89年、レナウン入社。レディースウエアの企画・立案などを経て98年から現職。百貨店、松屋銀座へのファッションディレクション、海外コレクション視察・分析、新規デザイナーの発掘などを手がける。

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