SankeiBiz for mobile

スマートさとかわいさの融合 「ポール & ジョー」

 パリジェンヌに世界中の女子が憧れる理由は、かわいらしさの中に自立心と個性が垣間見えるからだろう。その魅力を最大限、引き出すのが「ポール & ジョー」、メンズからスタートしたブランドでもあり、スマートさとかわいさを兼ね備えた「マスキュリンとフェミニンの融合」が特徴だ。創業者でデザイナーのソフィー・メシャリーは、パリ大学で経済学を修めてファッション界に身を投じた変わりダネ。スタイルにはその生き方も投影されている。

 東京・銀座の旗艦店は、銀座4丁目交差点にほど近い路地を入った映画館の並びのビルにある。店内はフレンチポップスが流れ、パリの雰囲気にあふれている。ソフィー自身がネコが好きで、デザインにも多く登場するほかシーズンごとに動物や果物、花などをモチーフにした鮮やかなプリント柄を発表。シルクなど高級素材も使ったレトロでモダンなデザインが、幅広い層の人気を集めているブランドだ。

 大人&遊び心

 1階のファーストライン「ポール & ジョー」は30~40代が対象で、優しさの中に大人の女性の華やかさをイメージしている。2015年春夏の新作はストロベリーがモチーフ。果実をちりばめたプリントや、温かみのある黄色のジャカード織りなど、レトロな中にトレンドを感じさせるワンピースがそろっている。細身でドレスのようなスプリングコートは、メンズテイストも感じさせるマスキュリンなデザインだ。

 2階のセカンドライン「ポール & ジョー シスター」は20~30代が対象。ガーリーで遊び心満載のコーディネートを提案しており、一部の陳列は、パリジェンヌの部屋のワードローブをイメージ。ソフィー自身が好きだという、ネコがモチーフのコットンセーターにショートパンツ、メッシュのセーターにスカートといった個性的な組み合わせは、そのままリゾート地でも活躍しそうだ。

 「母親の日常」から

 ソフィーはパリ大学で経済学を学んだ後、ファッション専門学校を卒業して、両親が経営する高級シャツメーカーに入社。1995年に独立して「ポール & ジョー」を設立。ブランド名は息子2人の名前を取ったもので、「仕事をしていても、心はいつも子供たちのそばにある」とのメッセージが込められているという。商品やデザインのアイデアは、クリエーターで働く母親でもあるソフィー自身の日常から生み出されている。

 当初はメンズブランドとしてのスタートで、96年にウィメンズに参入。「シスター」は2006年からで日本には08年に上陸した。「自由でハッピー」なパリジェンヌを演出するための総合ライフスタイルブランドを目指している。そのため衣料以外にも靴やバッグ、時計、アクセサリーや小物、化粧品、文房具など取り扱いを増やしてきた。ルームウエアやタオル、メガネフレーム、傘、水着など日本でも幅広く展開している。現在では欧州各国はじめ米国、英国、ロシア、中東など各国に進出している。

 コラボで時計、ブーツ

 日本では全国に「ポール & ジョー」9店、「シスター」17店を展開しており、銀座の旗艦店は12年2月にオープン。「映画鑑賞の前後に寄られる女性のお客さまも、多くいらっしゃいます」(スタッフ)という。最近は外国人観光客の姿が目立ち、アジアや中東系を中心に、客数は今年に入って前年比2倍の勢いで推移している。

 コラボレーションも積極展開。「シスター」では仏LIP社とのコラボで、動物をモチーフにした時計が手ごろな価格で買える。ファッションにあわせて付け替えてみたい。日本の化粧品メーカーのアルビオンによるコスメもそろう。3月には「ポール & ジョー」と仏衣料品メーカーのエーグル(AIGLE)とコラボしたウエアやレインブーツなどを発売。「シスター」では米靴メーカーのコンバースや、ディズニーとのコラボも予定している。

 ソフィーはデザインと経営面の両方を管理。ファッションをビジネス感覚からもとらえることのできる、業界では数少ない経営者でもある。その才覚が、絶妙なコラボレーションを生み出しているようだ。(文:藤沢志穂子/撮影:三尾郁恵/SANKEI EXPRESS

 ■ポール & ジョー銀座店 東京都中央区銀座4の4の7 ポール&ジョー銀座ビル。(電)03・5524・3638。午前11時~午後8時。不定休。

 ※価格は税込みです。

ランキング