ニュースカテゴリ:EX CONTENTS
エンタメ
【坂上忍の白黒つけて何が悪い!】監督の「今」を反映 でも…
更新
【かざすンAR(視聴無料)】映画「マップ・トゥ・ザ・スターズ」(デヴィッド・クローネンバーグ監督)。公開中(プレシディオ提供)。(C)2014_Starmaps_ProductionsInc./Integral_Film_GmbH □映画「マップ・トゥ・ザ・スターズ」
さて、なんと書き綴(つづ)ればいいのだろうか? 本コラム始まって以来の難解な作品を取り上げざるを得ないことに、わたしは少々戸惑っている。
「マップ・トゥ・ザ・スターズ」…直訳すると、「スターへの地図」だそう。この手のハリウッドの内幕を暴いたかに見える作品は、これまでも作られてきた。しかし、わたしにはどうもしっくりこない。
それはおそらく、ハリウッドと日本の芸能界事情がかけ離れているからに他ならない。ハリウッドの芸能界=セレブ。日本の芸能界だったり芝居の世界=けっこう地味。だって、映画に1本主演したからといって田園調布に家を建てることなんて到底できないし、移動車でリムジン使ってる役者なんて数人しか見たことないし、そもそも銃社会のアメリカと日本じゃね。
とはいえ、そこはデヴィッド・クローネンバーグ監督(71)がエンターテインメントにまとめつつも、得意の人間の暗部を見事に炙(あぶ)り出しているのだが…。
でも、「だが…」なんだよな~。クローネンバーグ監督作品といえば、「スキャナーズ」(1981年)や「ザ・フライ」(86年)、「クラッシュ」(96年)。近年では「危険なメソッド」(2011年)が記憶に新しいが、正直、メジャーというよりも、どちらかといえばコアな印象が強い。というか、その偏りこそがクローネンバーグでしょ!みたいな。
そういったわたしの勝手な思い込みが邪魔してか、どうにもこうにも「マップ・トゥ・ザ・スターズ」は、中途半端に映ってならなかったのである。キャスト陣も豪華なんですけどね。ジュリアン・ムーア(54)を筆頭に、ジョン・キューザック(48)、オリヴィア・ウィリアムズ(46)なんていい女優さんですしね。なにより、ジュリアン・ムーアはこの作品でカンヌ国際映画祭女優賞を獲得しているわけですから。でも…。
それでも、「でも…」なんだよな~。ムーアさん、とてもいい演技をしているんですよ。でもね、この役でカンヌの女優賞って言われても、まったくピンとこないのよね~。まぁ、賞なんてものは、そもそも何を基準に選んでるのかさっぱり分からないところがありますから、わたしなんぞがケチをつけたところで…なんですがね。要するに、内容であったり、撮り方であったり、演じ方であったり、もっとぶっちゃけて言っちゃうと、何から何までわたしにはしっくりこなかったわけです。
とはいえ、この手の作品が好きな方はもちろんいますしね。何より、クローネンバーグさんは追い続けて損のない監督であることは間違いないわけで。これはわたしの持論ですが、作家性の強い監督の作品は、1作ごとに楽しむことはもちろんですが、全作を通して見てみると、感じてみると、画面に監督の姿は映っていないものの、監督の思考が、その時代の迷いが、その瞬間の抗(あらが)いが見え隠れするもの。その点と線を自分勝手につなげていき、自分流の監督像を創造するのも、またひとつの楽しみ方なんじゃないかと。
そういった意味では、「マップ・トゥ・ザ・スターズ」はクローネンバーグ監督の「今」なんでしょうね。いや~、今回は素直にお薦めすることはかないませんでしたが、ここでお口直しではありませんが、超お薦めの作品を1つご紹介。「ビデオドローム」…めちゃめちゃ面白いです。これぞクローネンバーグといった世界観がたまらない。この作品を見て、わたしの脳内にクローネンバーグという名前が生涯刻まれることになった作品ですので、ぜひとも見ていただきたい!
やっぱね、デヴィッド・リンチ監督(68)やティム・バートン監督(56)もそうですが、貫いている人は好き嫌いを超越して格好いいのよね。わたしも、見習わなきゃだわ。(俳優、タレント 坂上忍/SANKEI EXPRESS)
カナダの鬼才、デヴィッド・クローネンバーグ監督が、かつて米ハリウッドでリムジン運転手として生計を立てていた脚本家、ブルース・ワグナー(60)の実体験をベースに、典型的なハリウッドセレブ、ワイス一家に潜んだ狂気をあぶり出していく。セレブを得意先とするセラピストのワイス(ジョン・キューザック)、人気子役の息子、ベンジー(エヴァン・バード)、ステージママのクリスティーナ(オリヴィア・ウィリアムズ)-。一家は裕福な生活を送っていた。ある日、ワイスのセラピーを受けている落ち目の有名女優、ハヴァナ(ジュリアン・ムーア)は、顔にやけどの跡が残る少女、アガサ(ミア・ワシコウスカ)を個人秘書として雇うことにしたが…。ムーアは第67回カンヌ国際映画祭で女優賞を受賞した。東京・新宿武蔵野館などで公開中。
※映画紹介写真にアプリ