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【坂上忍の白黒つけて何が悪い!】グレース・ケリー凄い キッドマンいい!
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映画「グレース・オブ・モナコ_公妃の切り札」(オリヴィエ・ダアン監督)。10月18日公開(ブレイントラスト提供)。(C)2014-STONE_ANGELS □映画「グレース・オブ・モナコ 公妃の切り札」
まずはじめに、この連載を引き受けるにあたってのたった1つの条件として、「素直な感想を書いていいならば」があった。素直とは? もちろん、面白いモノは「面白い」、つまらない? 合わないモノは「合わない」と書いていいんですよね? ということ。だって、誰にだって好みってありますからね。で、「グレース・オブ・モナコ 公妃の切り札」。中途半端にもったいつけても仕方ないので、とりあえず文句から。
っつうかね、作品に対する文句なんてないのよ。だって、めちゃめちゃ面白かったし。どこに不満があるかっつうと、アメリカだったり、ハリウッドだったり? だって、コレはモナコが舞台のお話ですからね。なのに、なんで全編英語で貫き通すのよってさ。
ほんと、ハリウッドって自信満々よね~。わたしなんか、フランス人が英語しゃべってるだけで違和感を覚えちゃうっていうのに。しかも、この作品は実話を基に描かれているとなれば尚更(なおさら)でしょ。
とはいえ、文句はここらへんでやめといて。だってね、普通だったらず~っと違和感を覚えたまま終わっちゃう作品もあるわけですよ。でも、この作品は別。というか、グレース・ケリーは別物って言った方がいいのかな。
とにかく、凄(すご)い女性ですわ。気持ちいいぐらいにね。女性が強くなったと言われて久しいですが、この時代にこんな強い生き方をしていた女性がいたの!ってぐらいに。だって、旦那を守るだけでなく、国までもを守ったわけですからね。しかも、女優という天職をなげうって。日本で例えるなら、山口百恵さんってとこなんでしょうか。で、そのスケールは何十倍みたいな。
簡単に内容を説明しますと、グレース・ケリーというオスカー女優が絶頂期に“モナコ王”と結婚するんですな。でも、その結婚生活は決して平坦(へいたん)なものではなく、フランスとの間に軋轢(あつれき)が生まれ、小国モナコは窮地に立たされるわけです。そこで、グレースさんが立ち上がるといいますか、女性にしかできない女性ならではの仁王立ち感で両国に和平をもたらす…みたいな。
ほんと、ざっくりですみません。でもね、これが気持ちいいのなんのって、痛快なんですわ。上映時間にこだわるわたしにとっては、とても優しい100分でまとめられていることからテンポも良し。無駄なく物語は進んでいきます。
そして、特筆すべきは主演のニコール・キッドマンかな。わたしね、正直いいますと、こういった超美人女優が苦手なわけです。というか、どこかで偏見を持っている。だって、綺麗(きれい)で仕事がもらえるんですからね。もちろん、綺麗だけで通用するほどハリウッドは甘くないわけですが、肝心のお芝居を見ても、これまでは「まぁね」程度でした。
でも、まれにこういう人っているんだよね。天から二物をもらっちゃったような人が。それぐらい、ニコールさんがいいのよね。羨(うらや)ましいぐらい美貌を維持したまま、いい年の取り方をしてるっていうんですかね。で、相手役のティム・ロスは相変わらずの安定感。
全体的に映像も綺麗過ぎるのが、逆にもったいないような気もしますが、クライマックスのニコールさんの独白シーンは涙モノでございます。
ぜひとも、アラサー以上の女性のみならず、男子にも見ていただきたい。決して惚(ほ)れた腫れたの映画ではありません。人としてどう生きるか?みたいな。ひとりの人間として自分と照らし合わせながら見ていただきたい作品でございます。(俳優、タレント 坂上忍/SANKEI EXPRESS)
米ハリウッド女優、グレース・ケリー(ニコール・キッドマン)は1954年「喝采」(ジョージ・シートン監督)でアカデミー主演女優賞を手中に収め、飛ぶ鳥を落とす勢いの人気を誇っていた。ところが、56年、モナコ大公、レーニエ3世(ティム・ロス)との結婚を発表、女優を引退することも報告し、世界中のファンを驚かせた。その後、6年の歳月が流れた。公妃としての立場になじめず、戸惑いばかりを感じていたグレースのもとへ、ヒチコックが訪れ、主演映画への出演を持ちかける。折しも、モナコはフランスのシャルル・ド・ゴール大統領(アンドレ・ペンブルン)から過酷な課税を強要されており、夫は窮地に立たされていた。国家の危機を救おうと、グレースは一世一代の勝負に打って出る。オリヴィエ・ダアン監督。