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7・4急襲 米特殊部隊空振り シリアで救出作戦 人質発見できず

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7・4急襲 米特殊部隊空振り シリアで救出作戦 人質発見できず

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シリア・首都ダマスカス、シリア・ラッカ  米政府は、シリアでイスラム過激派「イスラム国」が拘束した複数の米国人を救出する作戦に米軍が今夏踏み切り、失敗に終わったことを先週公表したが、作戦の決行日は米国の独立記念日に当たる7月4日で、デルタフォース(陸軍特殊部隊)の隊員20数人が投入され、イスラム国側と激しい銃撃戦を展開していたことなどが分かった。これは2011年3月のシリア内戦勃発後、初めてシリア領内で米軍が実施した軍事作戦だった。救出作戦の対象にはイスラム国に殺害された米国人ジャーナリスト、ジェームズ・フォーリー氏(40)も含まれており、遺族は「(救出のために)もっとできることがあったのではないか…」と失敗を悔やんだ。

 イスラム国と銃撃戦

 ロイター通信などによると、バラク・オバマ米大統領(53)が承認した救出作戦は7月4日深夜、米軍の無人機や戦闘機が上空を旋回するなか、デルタフォースの隊員が重武装したヘリコプターから、シリア北部ラッカ近郊の寒村、アクリシに飛び降りて始まった。

 部隊は着陸後、米国人人質が収容されているとみていた施設に走って接近。途中でイスラム国側の銃撃を受け、これに応戦する形で戦闘状態となった。一部始終を目撃していた男性はロイター通信に「まず米軍のヘリが地上の対空兵器を破壊し、兵士らが行軍するとほどなく激しい銃声が村中に響き、しばらく止むことがなかった」と語った。

 この地上戦で多数のイスラム国の戦闘員が死亡し、デルタフォースの隊員1人が軽傷を負った。米軍は施設を占拠し、中を調べたが、米国人を見つけることができず、その場を撤退した。また、この時の戦闘シーンはフェイスブックに投稿されたが、すぐに削除されたという。

 リサ・モナコ米大統領補佐官(国土安全保障・テロ対策担当)は声明で、「作戦遂行に信じるに足る十分な情報があった」と強調したが、イスラム国の動きに関する情報収集能力の限界や、人質の救出が難しいことを露呈した形だった。

 8月20日に公開された映像で処刑の場面が記録されたフォーリー氏の弟、マイケル・フォーリー氏(38)は米メディアに「兄が救出されなかったのは痛恨の極み。(政府は)もっと(救出作戦の)選択肢があったのではないか。大統領には一貫性を望む」などと語り、その上で「兄は(処刑の際)たじろがなかった。(捕われて)記事は送れなかったが、態度で強さを示した」と述べた。

 実行犯は英国人

 一方、英紙サンデー・タイムズは24日、フォーリー氏を処刑した、英国訛の英語を話すイスラム国の実行犯の身元を特定したと伝えた。報道によると、フォーリー氏の首を切った覆面の男は、ロンドン西部に住んでいたヒップホップアーティストのアブデル-マジェド・アブデル・バリー容疑者(23)。「ジハディ(聖戦主義の)・ジョン」とのニックネームを持ち、1年前に英国を出国したという。フィリップ・ハモンド英外相(58)は、実行犯が英国人だったことについて「国民への完全な裏切り行為だ」と述べた。(SANKEI EXPRESS

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