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音楽、映画、純粋な愛を考えて ジャン=マルク・ヴァレ監督 映画「カフェ・ド・フロール」
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本作を撮影するジャン=マルク・バレ監督=2010年8月22日(ポイントセット提供) エイズと闘う米ロデオ・カウボーイの苛烈な人生を描いた「ダラス・バイヤーズクラブ」(2014年)を手がけ、米アカデミー賞では主演男優賞と助演男優賞をわしづかみで持ち去ったのがこの人、カナダのジャン=マルク・ヴァレ監督(52)だ。新作のヒューマンドラマ「カフェ・ド・フロール」は、彼の故郷でもある現代のモントリオールと1969年のパリを舞台に、時空を超越した2つの愛の物語を同時並行的に描写した野心作だ。ヴァレ監督は「この作品を見るべき理由が3つあります。それは音楽、映画への愛、そして純粋に愛とは何かをそれぞれ考察するためです」と強調した。
1969年フランスのパリ。美容師として生計を立てながら、ダウン症の息子ローラン(マラン・ゲリエ)を育てるシングルマザー、ジャクリーヌ(ヴァネッサ・パラディ)にとって、ローランは唯一の生き甲斐だ。一方、現代のモントリオールでDJとして活躍するアントワーヌ(ケヴィン・パラン)には、2人の娘と恋人ローズ(エヴリーヌ・ブロシュ)がいて、両親も健在。生活に何一つ不自由はなかったが、別れた妻キャロル(エレーヌ・フローラン)は心の傷が癒えていない…。
ヴァレ監督は本作を少し個人的な色彩を帯びた形に仕立てた。「15年間連れ添った妻と別れた直後に作ったから、僕の心理が作品にかなり影響しています。映画作りは自分自身に対するカウンセリングの意味もあったかもしれません」。もっとも、ヴァレ監督はずっと以前からラブストーリーの制作を望んでいて、物語は「ソウルメイトとは何か」を観客に考えてもらう内容にすると決めていたそうだ。
ジャクリーヌとキャロルは純粋すぎるほどの愛情を持つがゆえに、次第に精神のバランスを崩していき、ほどなく夢を介在して、2つの物語が交錯していく。「人生を一番のテーマとした映画を作るため、3年間、毎日のようにこの物語と向き合ってきました。神秘的で魔法のような瞬間を撮りたいと思ったから、謎めいた超常的なところまで踏み込んでみたんです」
原題でもタイトルとなった「カフェ・ド・フロール」は、ヴァレ監督が大好きな曲であり、物語の着想を得たのもこの曲だった。「作品には『カフェ・ド・フロール』を挿入しました。曲はどこかの風景を描写しているかのようなイメージを与えてくれるほか、どこかもの悲しさが漂っていて、とても美しい旋律を持っています。僕はアントワーヌみたいに何度も聴いていたから、周りの皆は少し飽きてしまったかもしれませんね」。3月28日、東京・ヒューマントラストシネマ有楽町ほかで公開。(高橋天地(たかくに)、写真も/SANKEI EXPRESS)