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【クレモンティーヌのパリ便り】映画にはアートのすべてが詰まっている
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映画「フレンチアルプスで起きたこと」。7月上旬に全国公開(提供写真)。www.magichour.co.jp/turist みなさん、お元気ですか?
パリはすっかり春模様。連日ぽかぽか陽気が続いています。つい先日まであらゆるファッションブランドが集結するパリコレクションが開催されていました。1月にテロ事件があったので警備はとても厳重でしたが、ファッションの魔法で街が少し明るい雰囲気に包まれたような気がします。パリコレ開催中はオシャレ上級者をパリの街でたくさん見かけました。
一度見てみたいなーと思うのはコムデギャルソンのショーですが、私たちはこの週末田舎に出かけたので、オシャレ上級者ではなく牛や豚、ニワトリを眺めてのんびり過ごしました。
今回は同年代の田舎の友人たちと子離れと言うテーマで何時間も話しました。懸命に自分の世界を作り、社会に出る準備をしている子供たちは、不安定ながらも一歩ずつ大人になっています。頭ではわかっていても、親には子供は幾つになっても子供です。つい心配になって何でも根掘り葉掘り聞いてしまい、子供に冷たくあしらわれると落ち込んだりするのです。
母親たちは、まず今後巣立っていく子供を見守りながら、いかに自分の世界(趣味)を持ち、自分の時間を充実させるかが大切だね、という結論を出しました。
私の仕事には定年はありません。何より毎日何かを探求し続けることのできる仕事です。それでも仕事以外の趣味もあります。月並みですが、私は大の映画ファン。よっぽどのことがない限り、週一度は映画館で過ごすことは20年来の私の習慣です。戯曲、音楽、映像、芝居、装飾に衣装と、アートのすべてが詰まっている映画は、私たちフランス人の国民的娯楽です。どんなに景気が悪くても映画の興行収入だけは上がり続けているんです。パリには昔ながらの名画座がたくさんあるので、見逃した作品もちゃんと映画館で見ることができるんですよ。
最近見た作品の中からこれから日本で公開されるお薦め映画を紹介しますね。
まずはスウェーデン映画「フレンチアルプスで起きたこと」です。とても不思議な映画です。フランスのスキーリゾートが舞台の、約2時間の長い作品ですが、じわじわと怖さを感じる一本です。ストーリーはお話ししませんが、心理描写が素晴らしかったです。スキーリゾートで休暇を過ごす4人家族が主人公で、今パリでとても話題になっている一本です。
もう一本はアメリカの若手監督による素晴らしい作品「セッション」です。世界的ドラマーを目指す19歳の音楽学生が主人公なのですが、世界中の映画祭で注目を浴び、フランスでもとても話題になっているんですよ。大推薦します!
つい先日、日本の友人から、「東京物語」を見て以来大ファンになった小津安二郎(おづ・やすじろう)監督のDVD全集という何とも素敵なプレゼントから届きました。全編字幕なしの映像なので、毎週木曜の日本語レッスンの時、先生にせりふを教わりながら見ています。私にとって小津映画の魅力は、家族という小さな世界の中の人間の微妙な感情の表現の素晴らしさです。特に「東京物語」の笠智衆(りゅう・ちしゅう)さんや原節子さんの控えめで奥深い演技は何度見てもあきることはありません。
私の新しい趣味は字幕なしの日本映画を見ながら日本語を勉強することで決まりです。春がやって来ます。気分も新たに新しい趣味を見つけてみませんか?
C’est bientot le printemps et on est tous tres content!
Le printemps arrive a grand pas!
もうすぐ春ですね、幸せな気分!
いよいよ春がやってきます。(フランス人アーティスト クレモンティーヌ/SANKEI EXPRESS)