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【クレモンティーヌのパリ便り】フランスはいま、時代の節目を迎えています
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大規模デモ行進に参加するため出発地点のレピュブリック(共和国)広場に集まった人々を屋根の窓から眺める男女。デモには世界各国の首脳たちを含めてフランス全土で370万人が参加し、一連の事件による犠牲者の追悼とテロに屈しない姿勢を示した=2015年1月11日、フランス・首都パリ(AP) みなさんお元気ですか? いまフランスは大きく揺れています。全世界で大きく報道された、7日に起こった「シャルリー・エブド」紙襲撃事件はフランス全土を驚愕(きょうがく)させました。国全体の動きが止まり、国民はTVやラジオや携帯電話からの情報にくぎ付けになり、まるで戦争が始まったような今まで体験したことのない恐怖感に包まれました。翌日のモンルージュでの事件、翌々日に起こったポルト・ドゥ・ヴァンセンヌでの事件はさらに国民を恐怖に陥れました。治安部隊の突入により事件は一応終焉(しゅうえん)を迎えましたが、一連の出来事はフランスだけでなく全世界に大きな波紋を広げました。
《表現の自由とは? インターネットをはじめとする媒体に検閲が必要なのか?》
先日、事件以降初の「シャルリー・エブド」紙が発行されました。今まで公称6万部、実売3万部の決して国民のマジョリティーから支持されていたとは言いがたい存在だったこの新聞は、事件によって世界中から注目されることになり、今回は当初300万部印刷されましたが、それでも売り切れてしまい、海外向けも含めて700万部に増刷する方針だそうです。
街のキオスクの長蛇の列に私は少し違和感を持ちました。私自身、今まで毎週この新聞を購入していた人を2人しか知りません。最新号でも彼らは以前と変わらない「風刺精神」を貫いています。
《彼らが正しいのか? そうでないのか?》
彼らは妥協も迎合もせず、自分たちの「自由」思想を貫くことを選択しました。
11日には、各国の要人も参加した史上最大級ともいえる370万人もの参加者が「私はシャルリー」を合言葉に、反テロと犠牲者追悼を掲げる集会をしました。
それに対してシャルリー・エブド紙のジャーナリストは「いきなりたくさんの友達ができることに違和感を覚える」とのコメントを述べ、またまた彼らの精神を披露しました。
この事件についてパリに住む日本の友人とも話しました。尊重と和を最重視する日本では、テロは良くないが「誰かを傷つける極端な風刺」の存在についても疑問を持っている人がいることがよくわかりました。
いまフランスは歴史に残る瞬間を生きています。残念ながら今回の事件でテロが終結するとは思えません。市民の日常生活も様変わりしていくかもしれません。今回テロリストの標的になったのは、独自の風刺とユーモア精神を持つジャーナリストたちと、ユダヤ人コミュニティーでしたが、次の標的が何なのかは誰もわかりません。
《民主主義とは、自由とは、何なのか?》
今回の事件の後、新作「Soumission(服従)」で2022年にイスラム政権下におかれるパリの姿を書いた作家のミシェル・ウエルベックと、過度に寛容な移民を統合する現在の政策に強く反対するジャーナリストのエリック・ゼムールは、テロの標的になることを恐れて素早く身を隠しました。
《Nous sommes dans une periode de grande turbulence.》
(フランスはいま、大きく揺れながら、時代の節目を迎えています)