SankeiBiz for mobile

【仏紙銃撃テロ】仏史上最大 反テロ370万人デモ 民主主義のため 宗教・民族超える

ニュースカテゴリ:EX CONTENTSの国際

【仏紙銃撃テロ】仏史上最大 反テロ370万人デモ 民主主義のため 宗教・民族超える

更新

1月11日、首都パリでデモ行進するフランスのフランソワ・オランド大統領(左から3人目)、ドイツのアンゲラ・メルケル首相(同4人目)、イスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ首相(左端)、パレスチナ自治政府のマフムード・アッバス議長(右端)ら=2015年、フランス(AP)  フランスの風刺週刊紙銃撃など、一連のテロ事件を受けて11日にフランス各地で行われた大規模デモの参加者は、パリで120万~160万人、全土では計370万人に達し「フランス史上最大」(内務省)となった。テロに屈さず、言論の自由擁護に国民が立ち上がった「2015年1月11日」はフランスの歴史の分水嶺(れい)となった。

 エルサレム、ウィーン、ワシントンなど世界各地でも11日、テロに抗議し、フランス市民と連帯する行事が開かれた。

 フランスメディアの多くは7日の週刊紙銃撃以降の出来事を2001年9月の米中枢同時テロになぞらえ「フランスの9・11」と呼ぶ。2つの事件は国民の世界観を大きく揺さぶる共通点があるという認識だ。

 ただ、フランスの政治評論家のオリビエ・ラバネロ氏は「米国人は自分たちの身の安全を守るために団結したが、フランス人は自由などの価値観を守るために街頭に出た」と両国民の反応の違いを指摘した。

 パリではデモ開始から数時間たっても大通りを埋めた人の流れが途切れず、出発点のレピュブリック(共和国)広場には夜遅くまで若者らが集まった。パリ以外の各都市でも数万人から数十万人規模のデモが起き、バルス首相は「これが(テロに対する)われわれの答えだ」と胸を張った。

 テロをあおる過激思想の広がり、増加するイスラム系移民との共生など重い課題は残る。それでもフランス人はこれまでとは違う世界を生きてゆく。ラバネロ氏は「この巨大な国民的情熱がどこへ向かうのか、現実の社会や政治にどんな影響を与えていくのか。そこに注目していきたい」と話した。(共同/SANKEI EXPRESS

 ≪民主主義のため 宗教・民族超える≫

 フランスの風刺週刊紙「シャルリー・エブド」の編集者や、風刺画家らを銃弾で倒したテロに続く一連の事件を受け、11日にパリで行われた160万人規模のデモに参加した市民らは「結束し、共に民主主義のために」と声を合わせた。「自由、平等、博愛」の価値を共有する共和国の一体感を誇示するようにフランス国歌の大合唱を繰り返した。

 子供から老人まで

 フランスではデモが多いが、今回、人生で初めてデモに来たという人も少なくなかった。その一人で妻子と参加した会社員のブリュノさん(46)は「通常のデモを超える意味がある。自由を殺そうという人々との戦いだ」と語った。

 パリに住むコンピューター技術者、オリビエ・ブレイエさん(38)は「自由のために危険を冒した人々の勇敢さにこれまで十分感謝していなかった」と思いを述べた。

 親と手をつないだ子供から白髪のお年寄りまで参加者の年齢層は幅広い。笑顔も多く、「他人とともにある」ことを楽しむフランスのデモらしい雰囲気も漂う。

 イスラム教徒やユダヤ教徒、アフリカ系、アジア系の人々。宗教や民族を超え、さまざまな人々が肩を並べた。キリスト教の十字架や、イスラム教の三日月など宗教のシンボルを並べ融和を訴えるプラカードも。フランスの原則である「ライシテ(政教分離)」と叫ぶ声も聞こえた。

 レピュブリック(共和国)広場から約3キロ離れたナシオン(国民)広場までのボルテール大通りが行進のメーンルート。ボルテールは宗教の「狂信」を強く批判した18世紀のフランスの啓蒙(けいもう)思想家だ。

 警官に「ありがとう」

 参加者の多くから「イスラム教徒と過激派を同一視してはいけない」との声が聞かれた。これはフランス社会の一部にそうした現実があることの裏返しでもある。

 通りに面した建物の屋上に警戒に当たる警官の姿が見えると、人々から「ありがとう」の声が起きた。一連の事件では警官3人が射殺されたほか、立てこもり事件で特殊部隊が生命を賭して重武装した容疑者と対峙(たいじ)した。警官が拍手で応じると、デモ隊は大歓声を上げた。

 デモには外国からも市民らが参加した。シャルリー・エブドを購読してきたという会社員、ポール・ヘンドリクスさん(51)はベルギー北部アントワープから足を運んだ。「(殺害された編集長らは)不正に怒りの声を上げていた。恐怖や憎悪ではなく、社会への愛に基づく怒りだった」と死を悔やんだ。(共同/SANKEI EXPRESS

ランキング