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【仏紙銃撃テロ】「次号は100万部」 週刊紙に支援の輪
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犠牲者の追悼とテロに屈しない姿勢を意味する「私はシャルリー」の標語は世界に広がった。凱旋門に「パリはシャルリーだ」と大きく書かれたパリのシャンゼリゼ大通り=2015年1月10日、フランス・首都パリ(AP)
本社が銃撃されたフランスの風刺週刊紙シャルリー・エブドが14日の次号発行に向け、準備を進めている。銃撃事件で多くの犠牲が出たが、表現の自由に対するテロに屈しない姿勢を示す。他の国内メディアが協力するなど、支援の輪が広がっている。
仏メディアによると、次号発行のため、9日にシャルリー・エブドの編集会議が開かれた。「何を載せようか?」。そんな声が上がると、1人がおどけた。「今は何がニュースなの?」編集会議が開催されたのは仏紙リベラシオンの社屋だ。銃撃を受けたシャルリー・エブドの本社は使えないため、同じ左派系のリベラシオンが作業のスペースを提供した。シャルリー・エブドのスタッフ約30人が作業に従事する。
発行するのは特別号。通常16ページの紙面は8ページに減らすが、注目されていることから、発行部数を通常の6万部から大幅に増やし、100万部にする。海外での販売も計画しており、スペインやスイスの企業と海外販売のために交渉中だ。利益は犠牲者遺族に贈る。
リベラシオンだけではなく、仏主要紙のルモンドやテレビのカナル・プリュスも機材や人員を提供。政府も資金の提供を検討しているといわれる。9日にはマニュエル・バルス首相(52)もリベラシオンの社屋を訪問した。
12人が死亡した銃撃事件で、シャルリー・エブドは風刺画家5人を含むジャーナリスト8人を失い、次号発行は危ぶまれていた。その発行継続はテロへの抵抗とみなされ、定期購読を予約する企業も出ているという。シャルリー・エブドはこれまでイスラム教にかぎらず、さまざまな政治家や権威を揶揄(やゆ)し、物議を醸してきた。だが、事件後は「私はシャルリー」の標語が世界に広がり、風刺の対象だった人々からも支持が表明された。
あるコラムニストは「(事件を厳しく非難した)プーチン(露大統領)のような、たくさんの新たな友人ができ笑わせる」と皮肉を効かせながらも、「発行は継続しなければならない。そうでなければイスラム主義者の勝利になる」と語っている。(パリ 宮下日出男/SANKEI EXPRESS)
≪「自由の下へ」 50カ国の首脳ら大規模デモ≫
フランスの風刺週刊紙シャルリー・エブド銃撃に続く一連の事件で犠牲となった17人を追悼し、表現の自由を擁護しようと、パリで大規模なデモ行進が11日、行われる。国や宗教の違いを超え、普遍的な価値の下への結集をフランソワ・オランド大統領(60)が呼び掛け、仏メディアによると、数十万人になると見込まれる市民らに、約50カ国の首脳や閣僚が肩を並べる意向を示した。
ドイツのアンゲラ・メルケル首相(60)や英国のデービッド・キャメロン首相(48)ら欧州首脳のほか、イスラム圏のトルコのアフメト・ダウトオール首相(55)、パレスチナ自治政府のマハムード・アッバス議長(79)、ユダヤ人が大多数を占めるイスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ首相(65)らも参加の予定。
一方、ドイツ・ハンブルクでは、シャルリー・エブドのイスラム教預言者ムハンマドの風刺画を転載した新聞ハンブルガー・モルゲンポストが11日、放火された。けが人はなかった。警察は容疑者2人を逮捕して調べている。(共同/SANKEI EXPRESS)