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【仏紙銃撃テロ】仏空母派遣 イスラム国と対決鮮明 ペルシャ湾 軍事作戦支援
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1月14日、フランス南部トゥーロンに停泊中の原子力空母シャルル・ドゴールの艦上で、閲兵するオランド大統領=2015年(ロイター) フランスの風刺週刊紙シャルリー・エブドの本社銃撃など一連のテロに絡み、フランソワ・オランド大統領(60)は14日、仏軍の原子力空母「シャルル・ドゴール」をペルシャ湾に派遣する意向を表明した。イスラム教スンニ派過激組織「イスラム国」掃討のため、米軍など有志連合の軍事作戦を支援する。仏南部トゥーロンに停泊中のシャルル・ドゴール艦上で行った年頭の演説で述べた。また、シリア内戦への対応の遅れがイスラム国の勢力拡大を招いたとして後悔の念を表明、暗に米国を批判した。
フランスはイラク領内に対象を限定し、イスラム国への空爆に参加。空母の派遣は以前から決まっていたが、マニュエル・バルス首相(52)が「テロとの戦いに入った」と宣言した直後の大統領の発言とあって、イスラム国との対決姿勢を鮮明にした形だ。
また、オランド氏は「国際社会が必要なときに行動を起こさなかった事実を今も悔やんでいる」と強調した。
2013年にシリアで化学兵器の使用疑惑が浮上した際、米仏は軍事介入を目指す意向を示したが、米国が方針を転換した。オランド氏はこの結果、イラクやシリアでイスラム国の「支配地域の拡大」を許したとの認識を示した。
オランド氏は週刊紙銃撃事件に触れ、「人を殺せても理念までは殺せない」などと主張し、過激派に対する軍事作戦がテロ封じ込めにつながると訴えた。今後3年間で予定している軍の人員削減計画を見直す必要性にも言及した。
欧州ではイスラム国に参加する若者が増加しており、帰国後にテロを起こす懸念が強まっている。
一方、ベルギーのメディアは14日、パリのユダヤ系食料品店で人質事件を起こしたアメディ・クリバリ容疑者が自動小銃などの武器をベルギーで購入していたと報じた。武器はクリバリ容疑者のほか、週刊紙本社を襲った兄弟のサイド・クアシ、シェリフ・クアシ両容疑者も犯行時に使ったとしている。
真偽は不明だが、クリバリ容疑者と最近、接触していたという密売人が警察に出頭したという。(パリ 宮下日出男/SANKEI EXPRESS)
≪「アルカーイダ犯行声明は本物」 米情報機関≫
米国務省のハーフ副報道官は14日の記者会見で、フランス週刊紙銃撃事件をめぐり、イエメンを拠点とする国際テロ組織アルカーイダ系武装組織「アラビア半島のアルカーイダ(AQAP)」が出したビデオ映像による犯行声明は本物だと述べた。
米情報機関が結論づけた。ハーフ氏は「アルカーイダの残虐さを示す直近の一例であり、中でもAQAPが最も危険な存在であることを示している」と語った。
声明は事件をイスラム教預言者ムハンマドを侮辱したことへの「復讐(ふくしゅう)」だとし、アルカーイダ指導者のザワヒリ容疑者の命令に基づき、AQAPが「標的を選び、計画を立て、資金を出した」と指摘した。ハーフ氏は実行犯の容疑者兄弟がAQAPだけでなくほかのテロ組織の影響を受けていた可能性もあるとし、「声明の中身がそれぞれ事実かどうかは、いま調べているところだ」と語り、AQAPが実際にどこまで関与したのか解明を急ぐ考えを示した。
11分間にわたる犯行声明にはAQAP幹部のアンシ氏が登場。「英雄たちは(AQAPに)任命され、これを受け入れた。彼らは約束を守り、(計画を)遂行した」と述べた。その上で、事件は「(欧米との)対決の歴史において新たな転換点となる」と自賛した。
イエメン当局によると、容疑者兄弟は2011年7月にイエメンに密入国し、軍事訓練を受けたほか、AQAPの幹部アウラキ師に面会していたとされる。アウラキ師は11年9月末に米無人機攻撃で死亡している。(共同/SANKEI EXPRESS)