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ニジェール 風刺画抗議で暴徒化、10人死亡 テロ予備軍把握へ ネット監視強化
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1月17日、フランス週刊紙をめぐりニジェールの首都ニアメーで抗議デモを行う男性。「私はシャルリではない」と書かれたメッセージを掲げている=2015年(ロイター) 西アフリカ・ニジェールのマハマドゥ・イスフ大統領は17日、首都ニアメーで預言者ムハンマドの風刺画を掲載したフランスの週刊紙シャルリー・エブドへの抗議デモが暴徒化し、キリスト教会や飲食店が放火されて市民5人が死亡したと明らかにした。フランス公共ラジオなどが伝えた。風刺画抗議デモの死者は計10人になった。
ニジェールでは東部ザンデールで16日にシャルリー・エブドをめぐるデモで5人が死亡していた。
18日も野党勢力が抗議デモを呼び掛け、ニアメー中心部に約300人が集結。解散させようとした警官隊が催涙弾を発射し、再び混乱が広がっている。
イスフ大統領はテレビ演説で、風刺画に対して不快感を示す一方、「崇拝の場を略奪して汚し、キリスト教徒の同胞を殺害した者たちはイスラム教のことを何も理解していない」と述べ、暴徒化したデモ参加者を糾弾した。
17日はニアメーの他にも2カ所の町で抗議デモがあり、教会などが放火された。ニジェールでは人口約1780万人の約95%がイスラム教徒。(共同/SANKEI EXPRESS)
≪ガザの壁にも≫
パレスチナ自治区ガザにあるフランス文化センターの壁に、イスラム教預言者ムハンマドの風刺画を掲載したフランスの週刊紙に抗議したとみられる内容の落書きがあるのが18日までに見つかった。フランス公共ラジオが報じた。
ガザ住民の多くはイスラム教徒。「地獄に落ちるだろう、フランス人ジャーナリストたちよ」などと記されていた。センターは昨年10月の火災で損傷して以降、閉鎖中。(共同/SANKEI EXPRESS)
≪仏週刊紙 700万部に再増刷へ≫
フランス公共ラジオによると、風刺週刊紙シャルリー・エブドは17日、イスラム教預言者ムハンマドの風刺画が掲載された14日発売の最新号の発行部数を500万部から700万部に再増刷する方針を明らかにした。
新聞としてフランス史上最多部数となる。最新号は多くの国で販売され、テロに屈しない姿勢の象徴となっているが、イスラム教徒の激しい反発も招いている。
シャルリー・エブドは当初、300万部を発行するとしていたが、14日に500万部に増刷するとの方針を発表していた。
14日発売号はこれまでに計270万部が小売業者に渡り、そのほとんどが売り切れたという。(共同/SANKEI EXPRESS)
≪テロ予備軍把握へ ネット監視強化≫
フランス連続テロを受け、欧州でインターネットの監視強化を目指す動きが目立っている。ネット上での“テロ予備軍”の動向を把握しテロ防止につなげる方針だが、背後には監視の難しさに直面する当局の焦りも見え隠れする。
フランスのマニュエル・バルス首相(52)は事件を受け、ネットの監視強化を含むテロ対策の見直しを指示。フランスのメディアによると、情報機関の人員増や、ネット電話「スカイプ」を監視対象に加えることなどが検討されている。
フランス政府はテロを助長する言動の取り締まりを厳格化する方針も表明。テロを擁護したり人種差別を助長したりするようなネット上での書き込みを自動で検索するシステムの構築も検討しているという。
また英国のデービッド・キャメロン首相(48)も、情報機関の権限拡大に向け、ネット企業などに一定期間の通信情報の保存を義務付けるための法整備を進める意向を表明した。
当局が危機感を強める背景には、ソーシャルメディアがテロ集団にとっての「指揮統制ネットワークの役割を果たしている」(英通信傍受機関、政府通信本部のロバート・ハニガン長官)との認識に加え、急速に進む通信環境の変化がある。
英メディアによると、主要なネット企業が相次いで通信情報の「暗号化」を推し進める中、情報機関が通信内容を解読することが技術的に難しくなってきている。
さらに2013年に米中央情報局(CIA)元職員のエドワード・スノーデン容疑者(31)が米英情報機関による個人情報収集の実態を暴露して以来、ネット企業の一部は当局との協力に慎重になっているといわれる。
主要ネット企業の多くが米国を拠点としていることを踏まえ、訪米したキャメロン首相は「フェイスブック」や「ツイッター」などのネット企業は「テロと闘う社会的責任がある」と強調。16日のバラク・オバマ大統領(53)との会談でも連携拡大の必要性を訴えた。
ただ、テロ対策の必要性と個人のプライバシー保護の間で揺れ動いてきた欧州では、監視強化の動きに慎重論も根強い。英紙ガーディアンは、今回の連続テロが「すでに強大な権限を持つ情報機関のさらなる権限拡大の口実に使われるべきではない」と警鐘を鳴らしている。(共同/SANKEI EXPRESS)